「なりたい自分」を探し、深める!
普通科・教育みらい科
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3月1日(水)、本校の第60回目の卒業証書授与式を、新新体育館にて挙行いたしました。暖かな晴天に恵まれ、思い出の残る卒業式となりました。
卒業生の皆さん、保護者の皆様、御卒業おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。
〇学校長の式辞は,以下の内容のお話をさせていただきました。
厳しい冬の時期を越え、確かな春の息吹が感じられる今日の佳き日に、京都市立塔南高等学校第60回卒業証書授与式を挙行するにあたり、御来賓として本校愛校会会長様をはじめ、PTA役員の皆様、保護者の皆様方の御臨席を賜りまして、心から御礼申し上げます。
ただ今、卒業証書を授与されました教育みらい科40名、普通科196名、計236名の卒業生の皆さん、御卒業おめでとうございます。
3年前、自らの意志で本校の門をくぐり、巡り会えた仲間たちと共に過ごした日々。様々な教育活動や取組を通して、自らの可能性や良さを見出し,自己実現をめざして取り組んだ濃密な時間。その記憶の一つ一つが、今懐かしい思い出として脳裏をかけ巡っていることでしょう。皆さん一人一人が思い浮かべる思い出のシーンは異なっているでしょうが、本校に入学して3年間、共に学び、共に頑張り、共に助け合い歩んできた仲間や、皆さんと寄り添いながら、親身になって指導をしてくれた先生方、そして何より皆さんを暖かく見守ってこられたご家族の姿がきっとあったはずです。
振り返りますと、3年前、新型コロナウイルスの感染症の拡大により、保護者の皆様には御来校・御臨席していただけない状況の中での入学式、そして、その後の教育活動においても2か月の臨時休校、分散登校を経ての授業再開という、これまで経験したことのない異常事態での高校生活のスタートでした。様々な学校行事や課外活動の中止・延期や、大幅な変更・活動内容の長期にわたる制限等、コロナ禍の中で困難が続く高校生活でありました。
皆さんはこのような状況であっても仲間と共に「何ができるか」、「どうしたらできるか」を考え、創意工夫しながら最後まであきらめずに前向きに取り組み、本校を盛り立ててくれました。
2年生となり、延期となっていた九州方面への研修旅行では、春の遠足と連関させた探究活動を計画し、思い出に残る充実した研修旅行を実施することができました。文化祭においては、各クラスでの動画制作による上映会や校内装飾、各種イベントなど新たな文化祭のあり方も見出すことができました。そして、今年度の体育大会では、3年ぶりに全学年で開催することができ、競技に応援に、夢中になって取り組んでいる姿を見ることができました。普段の授業をはじめ、放課後遅くまで残り勉強に取り組んだ時間、グランドや体育館で仲間と共に汗と涙を流しながら部活動に打ち込んだ時間、この1つ1つの経験が皆さんにとってかけがえのない思い出になっていることでしょう。
皆さん一人一人が本校に入学してからの3年間、様々な「物語」があり、皆さんのかけがえのない時間と、その一部を共有する場として本校がありました。そして、その時間の中で、自ら学び自ら考え行動し、その結果を受け止めながら、意味のある多くの「とき」を本校で過ごしてきました。皆さんが高校生活の中で、一つ一つの物語を重ねるたびに、少しずつ大人の階段をのぼり成長してきました。
今日の卒業式は、皆さんで共有した「とき」を胸に刻み、これから始まるそれぞれの物語へとつなげていく新たな旅立ちの日にしてもらいたいと思っております。これから育まれる皆さん一人一人の素晴らしい物語を創っていくうえで、大切にしてほしい3つの事柄を送る言葉としてお話させていただきます。
1つ目は、歴史を紐解いていくと、江戸時代から明治時代にかけて、その時代を動かしたのは、高い「志」を持つ若者たちでした。幕末に限らずいつの時代においても、社会をしっかりと支え、大きく発展させてきたのは、若者たちが持っている熱い情熱と無限のエネルギーです。苦境に陥った時、それに屈せず乗り越えるための気力の根幹を成すものは高い志であり、それは人間性を高めるものでもあります。
これからの変化の著しい先行き不透明な時代を生きていく皆さんには、自らの夢や希望を明確にし、その実現に向けて常に努力を重ねるとともに、これからの社会における自らの役割を考え、生涯を通して果たすべき高い「志」をもって行動してもらいたいと思っております。
2つ目は、「心を耕す」ということです。これからの皆さんの人生を豊かに生きていくため、また、多様な人々との対話と協働を通して、よりよい未来社会を創っていくための基盤となる「心」を耕してもらいたいと思っています。今述べている「耕す」とは、様々な経験を通して自らの心を掘り起こし、可能性や良さを発見し、苦しいことや辛いことを乗り越えて、よりたくましく、そして、より優しくなることを意味しています。もちろん、美しいものや素晴らしいものを見聞きし、感性が豊かになることも心を耕すことになります。大地を耕して初めて豊かな実りが得られるように、心を耕して柔軟で強い精神を養っていってもらいたいと思っております。
3つ目は、「言葉を磨く」ということです。人と人とのつながり、お互いが尊重・敬愛し、わかり合うために、自らの思いが相手に響くように、言葉を大切にして磨いていく必要があります。言葉によって人は勇気づけられ、元気をもらうことができます。時には、その人の人生を大きく左右することもあります。昔から『言葉は心を映す鏡』といわれるように、自分の内面をも表しています。どのような言葉を発すれば、相手に受け止められやすいか、正確に理解してもらえるか、生きる力となるか、この言葉を意識することで、心も行動もついてくるのです。自分が発する言葉を意識して、錬磨することで人格も磨かれていき、自らの豊かな人間力にもつなげてもらいたいと思っております。
只今お話をした3つの送る言葉、自らの「志」を高く持って、これからの社会のため、人のために生き、「心を耕して」、しなやかで強靭な精神を養い、「言葉を磨いて」、人と人とのつながりを大切にし、暖かで良好な人間関係を築いてもらいたいと思っております。
最後になりましたが、ご臨席賜りました保護者の皆様に、御挨拶申し上げます。本日はお子様の御卒業、誠におめでとうございます。高校生という多感な時期を本校で過ごされたお子様は、高校生活において様々な経験を積み、成功や失敗を繰り返しながら学んできました。その姿を見守り、嬉しい時には共に喜び、苦しんでいる時には励ましながら、3年間を過ごされてこられたと思っております。立派に成長されたお子様が新たな旅立ちを迎える本日、まさに感慨無量のことと拝察いたします。これまでの本校の教育活動に対しまして、温かい御支援並びに御協力を賜りましたことを、心から感謝申し上げます。
卒業生の皆さん、いよいよ本校を巣立つときが来ました。これらの未来社会は皆さんを必要としています。そして、皆さんが未来社会を創っていくのです。本校での様々な学びや活動に誇りとプライドを持ち、常に挑戦する気持ちを持ち続け、「志」や「夢」の実現に向けて突き進んでください。卒業生の皆さん一人一人が、それぞれの世界に向けて力強く旅立ち、それに続く輝かしい未来が訪れることを願いまして式辞といたします。
令和5年 3月 1日
京都市立塔南高等学校長
尾崎 嘉彦