社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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1月23日(土)土曜講座終了後の11時50分から,7階大講義室にて,1年生全員に特別講演会を行いました。
講師は株式会社「千總」取締役製作本部長・株式会社「あーとにしむら」代表取締役社長の礒本延様で,颯爽と和装でいらしてくださいました。また,実物を是非見てもらいたいということで,振袖・訪問着・明治~昭和時代にかけての裂見本帳等,大変貴重なものをたくさんお持ちくださいました。
株式会社「千總」は,弘治元年(西暦1555年=川中島の戦いがあった年)創業の460年に及ぶ長い歴史を有する老舗であり,「友禅染呉服製造卸」として揺るぎない地位を誇り,伝統を守ると同時に常に時代が求めている新しい価値の創造にも積極的に取り組み,変革を続けている企業として世界にその名を知られている会社です。
今回は50分という限られた時間でしたが,「きもの」の基礎的な知識をはじめ,友禅染の工程についても映像資料を用いながらわかりやすく説明して下さいました。その中で「きものの企画・デザインから完成まで,通常3~4か月かかり,長いものでは1年半を要するものもある。」「青花で下絵を描いて,次の糊置きの職人にバトンタッチするとき,阿吽の呼吸が必要。コミュニケーションがうまくとれないといいものは出来ない。」「紙にデザインを描く,生地に下絵を描く,糊を置く,それぞれ絵を描く技量がないといけないが,求められるスキルは各工程でまるで違う。」「世界で絹の生産量上位3か国は,中国・インド・ブラジル。国産の絹は流通量の実に1%しかない。絹糸から作られる白生地はまさに製品の品質そのものといえる。千總では,純国産絹糸を守るため,各関係機関とともに生産プロジェクトを立ち上げており,国産絹糸のうち一割[15~20トン程度]を使用している。」「京都の水は量が豊富で水質も適している。それで友禅染が発達した。」等,伝統と技術に裏打ちされた友禅染の貴重なお話を伺うことができました。
また,”きものの時代による変遷”や”現在の千總が他業種とのコラボレーションを進めておられる様子”についても説明して下さり,ふわっと着たり薄着していたり等の時代変化の要因には,環境や社会・政治・立場等の違いがあったり,自らが持つ技術やデザインを幅広い業種に提供して,今の環境に合ったものを提供するよう工夫しておられることなどもお話下さいました。
質疑応答では,「なぜ男性の着物は昔は派手だったのに今は地味になっているのですか」という質問に対して,「地味になっていったのは江戸時代の中ごろから。一言でいえば,ユニフォーム化したから。」と,理由や他の例も挙げながら,簡潔にお答え下さいました。
最後に,代表生徒から,「着物は,例えば祖母のものを孫の代でも着る等,世代を超えて伝えていけるのも魅力の一つ。これからも,その魅力を学んでいきたいと思います。」と感想とお礼の言葉を述べました。
生徒の皆さんには,日本文化の精華の一つである着物について学んだことを一つの契機として自らの文化について理解を深め,それを基盤として,3月の海外フィールドワークでさまざまな国や地域の人々と交流を行う際に,文化・風習等の相違点やそれぞれの良さについて考えを深めてもらえればと思います。そして,常に新たなものに挑戦し,作り出す気概を持ち続けてください。
お忙しいところ,沢山の貴重な着物をお持ちくださり御講演下さいました礒田様をはじめとする株式会社「千總」の皆様方に,御礼申し上げます。誠に有り難うございました。