社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
〒604-8437 京都市中京区西ノ京東中合町1[MAPを見る]
TEL. 075-841-0010 FAX. 075-822-5702
4月8日(木)10時から,2階アリーナにて,西京高校エンタープライジング科令和3年度入学式が挙行され,「エンタープライジング科第19期生」としての歩みを始めました。
以下,岩佐校長の式辞を紹介します。
平成15年,本校の伝統のさらなる充実と発展を図るために,『進取・敢為・独創』の校是の下,未来社会を創造するエンタープライズシップにあふれた,二十一世紀をリードする人材を育成するとの教育理念を掲げたエンタープライジング科を開設いたしました。
エンタープライズシップとは,変化の激しい現代社会において,自ら進んで物事に取り組もうとする「進取の気性」,あえて困難な事にでも立ち向かおうとする「敢為の気概」,新しい価値を生み出し創造していこうとする「独創心」,この三つを総称するものであります。
我々は,このエンタープライズシップをエンプラ魂と呼び換え,思考停止にならず常に挑戦し続けることを心がけています。
本校は,社会課題に対する幅広い関心と深い教養に加え,コミュニケーション能力,問題解決力等の国際的素養を身に付け,将来,国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成に積極的に取り組む高等学校として「SGHスーパーグローバルハイスクール」の研究指定を5年間受けてきました。その結果,質の高いカリキュラムの開発・実践を進めることができ,引き続き今年度以降もその成果を還元してまいります。
また,内閣府の提唱する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP):ビッグデーター・AIを活用したサイバー空間基盤技術」に基づき数億円の予算の中で「エビデンスに基づいたテーラーメイド教育の研究実践」を京都大学と研究連携しております。コンピューターのネットワーク環境を整えたり,教科書をデジタル化したりする等,ツールとしてICTを活用する今までの「教育の情報化」とは全く次元が異なり,生徒たちの学習状況をAIが判断して生徒は「どこで,つまずいているのか。」「どの部分が学習できていないのか。」を分析・可視化することによって,それぞれの生徒に合った学習方法を決定し提供するものです。これが実現すれば子どもの学習の仕方も教師の役割もそして教育の在り方も大きく変化します。在籍する西京の生徒みなさんの教育の個別・最適化を進め,そして未来の教育を良くするために,この国家プロジェクトに臨んでいきたいと考えています。
先日,本校学術顧問でノーベル物理学賞を受賞された赤崎勇先生がご逝去されました。心よりご冥福をお祈りいたします。赤崎先生は平成二十一年に稲盛財団が運営する科学や技術,思想・芸術の分野に大きく貢献した方々に贈られる日本発の国際賞「京都賞」を受賞された際,特別授業を西京で実施していただきました。その折に準備や当日の進行に当たった生徒実行委員の働きぶりをお褒め下さり,生徒たちへの激励になればと,翌22年,本校西館の南側,校舎と御池通の間のメモリアルガーデンに青色発光ダイオードオブジェ「青色の滴」を設置していただきました。現在も毎晩“理知の光”“英知の輝き”を放っています。
LEDは,1960年代に赤色や黄緑色が開発されましたが,青色は実用化が困難で「20世紀中の実現は不可能」とさえ言われていた。そうした中,赤崎先生は1980年代から90年代にかけ,世界中の研究者が諦めていた窒化ガリウム(GaN)の高品質単結晶化などに取り組み,青色LEDの開発に成功されました。
ご講演の際に,先生から賜りましたメッセーを紹介します。
自然に学び,感謝の気持ちを忘れずに! 若い人たちには,夢を持ち,失敗を恐れず,一旦決めたことは最後まで諦めずに貫徹する行動力を期待します。「疑問」を大切にしてください。たとえ「我一人荒野を行く」の境遇の中でも,『吾道一以貫之』(吾が道 一以つて之を貫く)の強い信念が必要です。そして『諦めなければ道は開ける』と力強く,我々の背中を押していただきました。西京は,エンタープライジング精神を育む学校です。様々な挑戦を果敢に行う「敢為」の気概を大切にしています。赤崎先生の研究に対する姿勢を忘れることなく,これからも努力していきましょう。
新入生の皆さんは,この進化しつづける西京高校エンタープライジング科第19期の入学生となり,輝かしい本校の歴史に新たなる一ページを刻んでいくことになります。130年を超える西京の歴史の歩みの中で培われた伝統の上に立ち,これからの社会を積極的にリードする人材となることを期待され,またその責任を負っているといっても過言ではないと思います。
どんな難問にも答えはあります。挑戦すればその答えを導き出すことができます。今,世界中で人類は見えない敵と戦うという難題に直面しています。我々は,今できる正しい行動をとり,この難題の問いを導き出そうじゃありませんか。皆さんの今できる挑戦に期待いたします。
私から具体的なアドバイスです。皆さん,本を読みなさい。いい本との出会いは皆さんの価値観を大きく広げることになります。皆さんがいい本と出会うことを願っています。
結びにあたりまして,本日ご列席の保護者の皆さまに,心よりのご祝詞を申し上げ,さらに力強いご支援を本校教育に寄せられることをお願いいたしまして,本日の式辞といたします。
令和3年4月8日
京都市立西京高等学校 校長 岩佐 峰之