社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
〒604-8437 京都市中京区西ノ京東中合町1[MAPを見る]
TEL. 075-841-0010 FAX. 075-822-5702
第2部は,3フロア・計71グループに分かれての,地声による,数人の聴衆との,双方向的な質疑応答となる,「ポスター発表形式による活動報告」です。
休憩をはさんで,1年生たちは先輩が待ち構えている5・6・7階に移動し,事前に「要約集」を読み込んで選んでおいたポスターの前に陣取りました。1年生たちも4月の学習合宿で一度ポスタープレゼン大会を経験していますので,しっかりとメモを取りながら聴き,質問する姿が見られました。また,2年生は練習のときよりずいぶん堂々と聴衆に向けて説明をし,質問に対するやり取りも丁寧に行っていました。お互いに5回繰り返し行われる機会を目いっぱい使って,調査結果を「伝える」・「受け取る」ことがそれぞれ出来ていたように思いました。
最後にメモリアルホールに1年生・2年生が全員集合し,御来賓の何先生から講評をいただきました。
環境資源税制論・環境経済学が御専門の何先生は,御自身の経験を踏まえながら,生徒たちに詳しく講評して下さいました。
「まず,事例研究の流れとしては,(1)課題の選択・・・先行研究を踏まえて課題を抽出する,(2)調査手法の選択・・・メンバー内でディスカッションしながら課題解決に最も適切な手法(インタビュー・アンケート・観察等)を検討する,(3)データの分析収集・まとめ・発表,という手続きを踏む。皆さんの発表では,しっかりとした手続きを踏んで分かりやすいポスターを作り,立派なプレゼンテーションができていた。」
「今回発表していたテーマを大きくまとめると次の4つになる。(1)文化の相違(食文化・宗教等),(2)自然・生態環境・水問題(ごみ問題・景観・生物等),(3)社会経済状況,(4)戦争と平和。若い皆さんが外の世界に出て日本という国を見直すという意味でも,とても大きな意味があった。」
「調査手法は主に次の3つが選択されていた。(1)街頭での個人インタビュー(1対1),(2)観察法(ショッピングモールや寺院等),(3)挑戦法(食事を作る・伝統行事に参加する・清掃活動を行う等,自ら参加する)それぞれの課題に対する適切な手法が用いられていて,資料の収集に大きく役立ったのではないかと思います。」
「13期生の皆さんの発表は,これまで調査研究してきたことの集大成だったわけですが,見やすいポスターが作成されており,説明の言葉も分かりやすく,質疑応答でも1年生に対してしっかりと答えが出来ていたと感じました。」
「今後,FWに取り組む14期生へのアドバイスとしては,プレゼンテーションを行う際に工夫の余地がまだある,ということを指摘しておきます。ポスターのレイアウトは,初めて見る人にも分かりやすく,を心掛けてください。あるグループは,ボードに貼った紙の順番を矢印で示していました。これで聴衆には格段に分かりやすくなります。また,文字のサイズにも気配りが必要です。字が小さいと,データが分かりにくくなってしまいます。他にも,写真やグラフをうまく活用するなど,留意して下さい。」
「これから冬にかけて課題研究の論文に取り組む13期生へは,(1)「厚い記述」を目指して下さい・・・海外FWでは短い時間の中で資料を収集してまとめるため,事実の羅列になりがちです。今後は,既にある書物・論文・新聞・ニュースなどをもとに再検証しながら,なぜこうなったのか,事象の文化的・社会的な背景を丁寧に加えていく必要があります。そして,(2)FWでは,限られた地域・時間内での調査のために一面しか見えず,“木を見て森を見ず”,ということになりがちです。現地で見つけた事実が,一般的な事象として捉えることがいいのかどうかは,もう少し検討を加える必要があります。」
「14期生が,もう一度同じ内容でフォローアップ調査をすることも考えられます。先輩たちが取り組んだ課題を追跡して次年度のデータを使って再検証することにより,新しい課題を発見することも出来るでしょう。こういった手法も使ってみたら良いのではと思います。」
「皆さんの完成した論文集を拝読できるのを,楽しみにしています。」と期待の言葉で講評を締めくくって下さいました。
最後に,1年生代表の生徒から,2年生に向かっては,「私たちのために発表して下さってありがとうございました。とても勉強になっただけでなく,海外FWに取り組んでいくという実感が湧きましたし,“自分はこんなことを調査してみたい”と考えるきっかけになり, 視野も広がりました。」と感謝の言葉を,1年生に向かっては,「皆さん,“知の遺伝子”の継承は出来ましたか。私は内進生ですが,今回の発表は今まで見てきた中で一番いい発表でした。先輩方がこれまでの発表を引き継ぎ,さらにそれを良くしていかれた結果だと思います。1年生の皆さん,2年生の発表は超えられそうですか。来年の発表がさらに素晴らしいものに出来るよう,今回の発表をしっかりと吸収して,学年全員でがんばりましょう!」と,決意表明を行って締めくくりました。
生徒の皆さんは,発表者としても,聴衆としても,生き生きとこなしていたと思います。
2年生は,昨年度以来,本当に盛り沢山の活動に取り組んできました。この頑張りは大きな糧として,課題研究の取組に,また今後の人生に活きることでしょう。
次は,14期生が「選択制海外フィールドワーク」をはじめとする様々な活動に真摯に取り組み,後輩たちにエンプラ魂を引き継ぐ番です。活躍と飛躍を期待します。
最後になりましたが,この発表会と並行して,附属中学校の希望生徒・保護者の皆様への海外FW報告会も昨年度同様行い,さらに今年度は「スーパーグローバルハイスクール」第3回報告会も実施しました関係から,多数の皆様方の御参加をいただくことができました。(参加者数:総計約870名[高校1・2年生約570名,附属中学生約130名,中高保護者約100名,教育関係者約20名,本校教員約50名])お忙しい中多数の皆様方の御来校を賜り,誠に有り難うございました。