社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
〒604-8437 京都市中京区西ノ京東中合町1[MAPを見る]
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4月10日、2階アリーナにて令和5年度入学式を挙行しました。入学生たちは「エンタープライジング科第21期生」としてこれからの高校生活を歩みはじめます。
以下、岩佐校長の式辞を紹介します。
花冷えの時を過ぎ、ようやく風光る春の訪れを感じる季節となりました。本日、京都市教育委員会指導部生徒指導課首席指導主事 徳地守様、西京同窓会 会長 二之湯智様、PTA会長 十倉宏始様をはじめPTA役員の皆様、保護者の皆さまのご臨席を賜り、令和5年度 京都市立西京高等学校 入学式を挙行できますことに、感謝の言葉を申し上げます。新型コロナウイルス感染防止対策が緩和されてきておりますが、学校といたしましては状況を勘案しながら、できる限り通常の形に戻してまいりたいと思います。どうぞご理解いただければ幸いです。
さて、279名の新入生の皆さん、また本日ご列席いただきました保護者の皆さま、御入学おめでとうございます。教職員一同を代表いたしまして、心よりのお祝いを申し上げます。本校は、明治十九年に我が国、第三番目の商業学校として誕生し、後に「京一商」の愛称のもとに文武両道を極める名門校として名をはせ、戦後は一貫して「西京」の校名の下に、普通科・商業科を設置し我が国のあらゆる分野に有為な人材を輩出して参りました。平成十五年、本校の伝統のさらなる充実と発展を図るために、『進取・敢為・独創』の校是の下、未来社会を創造するエンタープライズシップにあふれた、世界をリードする人材を育成するとの教育理念を掲げたエンタープライジング科を開設いたしました。エンタープライズシップとは、変化の激しい現代社会において、自ら進んで物事に取り組もうとする「進取の気性」、あえて困難な事にでも立ち向かおうとする「敢為の気概」、新しい価値を生み出し創造していこうとする「独創心」、この三つを総称するものであります。我々は、このエンタープライズシップをエンプラ魂と呼び換え、思考停止にならず常に挑戦し続けることを心がけています。
本校は、社会課題に対する幅広い関心と深い教養に加え、コミュニケーション能力、問題解決力等の素養を身に付け、将来、国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成に積極的に取り組む高等学校です。「SGHスーパーグローバルハイスクール」の研究指定を受けた経験から、質の高いカリキュラムの開発・実践を進めることができ、引き続き今年度以降もその成果を還元してまいります。また、内閣府の提唱する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP):ビッグデーター・AIを活用したサイバー空間基盤技術」をはじめとする事業に参画している京都大学と研究連携しております。ツールとしてICTを活用する今までの「教育の情報化」とは全く次元が異なり、生徒たちの学習状況をAIが判断して生徒は「どこで、つまずいているのか。」「どの部分が学習できていないのか。」を分析・可視化することによって、それぞれの生徒に合った学習方法を決定し提供することをめざした研究です。「教える授業」から「学ぶ授業」への転換を、ICTを積極的に活用し進めてまいりたいと考えています。
パソコンの父といわれているアラン・ケイは次のように述べています。
「未来を予測する最善の方法は、自らそれを創りだすことである。」
この精神を忘れることなく、最適な学びの場を提供できるよう授業改善に挑戦していきたいと思います。
一昨年、本校学術顧問でノーベル物理学賞を受賞された赤崎勇先生がご逝去されました。心よりご冥福をお祈りいたします。赤崎先生は平成二十一年に稲盛財団が運営する科学や技術、思想・芸術の分野に大きく貢献した方々に贈られる日本発の国際賞「京都賞」を受賞された際、特別授業を西京で実施していただきました。その折に準備や当日の進行に当たった生徒実行委員の働きぶりをお褒め下さり、生徒たちへの激励になればと、翌22年、本校西館の南側、校舎と御池通の間のメモリアルガーデンに青色発光ダイオードオブジェ「青色の滴」を設置していただきました。現在も毎晩“理知の光”“英知の輝き”を放っています。LEDは、1960年代に赤色や黄緑色が開発されましたが、青色は実用化が困難で「20世紀中の実現は不可能」とさえ言われていた。そうした中、赤崎先生は1980年代から90年代にかけ、世界中の研究者が諦めていた窒化ガリウム(GaN)の高品質単結晶化などに取り組み、青色LEDの開発に成功されました。
ご講演の際に、先生から賜りましたメッセージを紹介します。
「自然に学び、感謝の気持ちを忘れずに!」
「若い人たちには、夢を持ち、失敗を恐れず、一旦決めたことは最後まで諦めずに貫徹する行動力を期待します。」
「『疑問』を大切にしてください。」
「たとえ「我一人荒野を行く」の境遇の中でも、『吾道一以貫之』(わがどういつをもってこれをつらぬく)の強い信念が必要です。これは「目の前の一つ一つのこと全てを、誠心誠意、大切に、全力で生きる」という意味です。」
そして
「諦めなければ道は開ける。」
と力強く、我々の背中を押していただきました。西京は、エンタープライジング精神を育む学校です。様々な挑戦を果敢に行う「敢為」の気概を大切にしています。赤崎先生の研究に対する姿勢を忘れることなく、これからも努力していきましょう。
最後に、学校は、楽しいところでなければなりません。西京のモットーは「おもしろおかしく」です。新入生の皆さんは、この進化しつづける西京高校エンタープライジング科第二十一期の入学生となり、おもしろおかしい高校生活を過ごしてほしいと思います。皆さんの今できる挑戦に期待いたします。私から具体的なアドバイスです。皆さん、本を読みなさい。いい本との出会いは皆さんの価値観を大きく広げることになります。皆さんがいい本と出会うことを願っています。そして、「疑うこと」すなわち批判的思考力、英語ではcritical thinkingと言いますが、これが重要になってきます。ここでいう批判的とは「本当か?」と疑うことを意味します。先生が言ったからと言って、また教科書に書いてあるからと言って鵜呑みにするのではなく本当か?と納得いくまで考えたり調べたりしてみて下さい。そういう態度が、心の底からやりたいことを探すうえで有効にはたらくようになると思います。
結びに、保護者の皆さまにひとことお祝いを申し上げます。お子様のご入学、誠におめでとうございます。学校・保護者が手を携え、生徒一人ひとりの成長と自立のため、時には優しく、時には厳しく、同じ方向を向いて、全ての生徒の成長を支えていきたいと考えております。
今後、さらに力強いご支援を本校教育に寄せられることをお願いいたしまして、本日の式辞といたします。
令和5年4月10日
京都市立西京高等学校
校長 岩佐 峰之