社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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7月1日(金)6・7限のエンタープライズII(以下,EPIIと略します)・生命科学ゼミにおいて,株式会社島津製作所様の御厚意により,ショールーム「サイエンスプラザ」及び「メディカルセンター」の見学を行いました。
島津製作所は,明治8(1875)年に京都木屋町二条南において創業し,多様な分析・計測機器や産業機器の製造を中心に日本の基幹産業を支える企業です。「資源の乏しい日本の進むべき道は科学立国であると考え,科学知識の普及を通じて社会に貢献することをめざした」という初代・島津源蔵氏の理念のもと,創業当時から教育用理化学機械を製造していることもあり,日本の学校現場においてもなじみ深い企業でもあります。そのような企業が学校から歩いて行ける身近な場所に存在するということは,非常に幸運なことだと思います。(この4月からは,相談役でいらっしゃいます服部重彦様が,本校「学術顧問」に御就任下さっています。)
今回の見学では,最新の分析機器や医療機器を間近に見ることで,このような技術の発達が生命科学の分野をはじめ,人間社会にどのような貢献をしているのかを理解することを目的としています。
島津製作所では,様々な分析機器を製造されていますが,近年生命科学の分野で特に大きな革新をもたらしたのが「質量分析」という分析機器です。これは島津製作所シニアフェローの田中耕一氏が,タンパク質のような生体高分子をイオン化する技術である「ソフトレーザー脱離イオン化法」を開発したために広く普及することになりました。そして,この革新的な技術開発により,田中耕一氏はノーベル賞を受賞されました。この技術の詳細に関して,生徒たちは事前学習として先週の授業で講義を受けた上でこの見学に参加していますが,知識として得た技術が,実際のどのような分野で利用されているのかをよく理解することができたと思います。現在も田中耕一氏は,血液などのわずかな生体サンプルから質量分析を用いて,癌などの重篤な病気を早期に発見するための技術開発をされているとのことです。このような技術開発の方々のひたむきな努力の積み重ねにより,社会に貢献する革新的技術が生まれていることを生徒たちもしっかりと感じ取ったようです。
質量分析以外にもコンピュータ産業や人工衛星,航空産業などの根幹を支える技術,橋などの巨大建造物の安全性を評価する技術,患者の苦痛や負担を軽減する医療技術等,社会の至るところに存在する,これまで気づくことのなかった技術の数々に目の当たりにし,人間社会に貢献する技術とはどういうものなのか,生徒たちの理解は深まったようです。
今回の見学は,「会社概要説明」「サイエンスプラザ見学」「メディカルセンター見学」の3部構成で行いました。終始生徒たちの関心も高く,あっという間の2時間でした。見学終了後には,「また個人的に来てもっとじっくり見てみたい!」との声も聞かれました。
お忙しい中,生徒たちのために案内・解説して下さました皆様に,厚く御礼を申し上げます。有り難うございました