社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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7月2日(木)7限,7階大講義室にて2年生人権学習を行いました。講師は,本校元教諭の服部欧右先生です。
服部先生はさまざまな市民活動をされていますが,平成20年(2008年)にアフリカ中部のルワンダ共和国への教育支援を行う非営利団体「ルワンダの学校を支援する会」を発足,代表を務めていらっしゃいます。この地で二度とジェノサイド(大量虐殺)の悲劇を繰り返さないため,ルワンダの青少年の教育に少しでも力になれたらとの思いで,また,ルワンダの平和の維持を考えることは日本の平和の維持を考えることにもつながっていくとの思いから,この活動を続けておられます。
本日の演題は「ルワンダ・ジェノサイドから学ぶ 生命・人権・平和 ~隣人はなぜ殺人者に変わったのか~」です。
ルワンダでは平成6年(1994年)4月から7月にかけて,国民の約1割に当たる80万人から100万人が犠牲となるジェノサイド(大量殺戮)が起こりました。同じキニヤルワンダ語を話し,同じ生活習慣を持ち,婚姻も行いながら,長い間共存してきたツチ族とフツ族の間にこのような悲劇が起こった原因には,国内外からの意図的なツチ族とフツ族の区別の誘導と憎しみの増幅がありました。虐殺は非常に組織だって行われ,一般人が民兵となって,昨日まで隣人だった人を突然殺し始めたのです。聖職者や医師,教師,警察なども虐殺に参加しました。
講演では,ルワンダにおけるジェノサイドまでの道程やその特徴,特にそれまでは普通に隣人として生活していた人々がどのようにして加害者になったのか,そしてまた現在のルワンダの状況などを,映像資料も交えながら,順序立てて分かりやすく語って下さいました。その中で,特に知識人層(医者や村の指導,教師・牧師など)が虐殺に加わっているという事実について,深く考えてほしいというメッセージがありました。つまり,獲得した知識・情報が高度なものであっても,その知識を使う人間の心性がことの善悪の分かれ目になのだということです。「自分自身で考えることをやめてはならない」「考えることをやめてしまった方が脳が楽になる」,そして周りに従順になり,このような悲劇が起こってしまう,と服部先生は熱く説いておられました。「自分の頭でしっかりと考えること」そして「人権を尊重する意識を持ち,それを維持すること」の大切さが,生徒たちにも十分に伝わったようです。
この講演を契機に,様々な問題を自分のこととして真摯に受け止め,解決に向けてそれぞれが考え,行動していってほしいものです。服部先生,お忙しい中御講演下さり,有り難うございました。