社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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2月28日(金)、エンタープライジング科20期生の卒業証書授与式を挙行いたしました。卒業生の皆さん、本当におめでとうございます!
以下、岩佐校長の式辞をご紹介いたします。
式辞
春は名のみの風の寒さに、やわらかな春の日差しが、待ち望まれる季節となりました。本日は、京都市立西京高等学校第77回卒業式を挙行するにあたり、お忙しい中、京都市教育委員会体育健康教育室 指導主事 鈴木雄大様、西京同窓会より、二之湯智 会長、また平素より、奨学金授与など多大なるご支援をいただいている一般社団法人京一商西京倶楽部より大嶋敏光 副理事長、また本校PTA三宅真知子 会長並びに役員の皆様、保護者の皆様、関係各位のご臨席を賜わりましたことに、心から御礼申し上げます。また、昨年度本会場ステージの舞台幕を新調させていただきましたことを、あらためて紹介いたします。新調するにあたり、西京同窓会、西京教育振興会より多大なるご支援をいただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
ただ今、エンタープライジング科第20期生265名の皆さんに卒業証書を授与いたしました。まずは、卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
さて、皆さんにとって西京高校での3年間はいかがだったでしょうか。思いおこせば入学当時はコロナ対策のため制限のある高校生活で、まだ海外には行けず国内でのフィールドワークを実施した学年です。制限が徐々に解除され、コロナ前と同様に行事を実施することができましたが、私は生徒諸君が「おもしろおかしく」学校生活が送れているのかを自問自答する日々でした。これから何をしなければならないか、不安な気持ちをぬぐうことができませんでしたが、皆さんの希望に満ち溢れた笑顔や保護者の皆様や関係各位のご協力に助けられ、今日という日を迎えることができました。本当に感謝いたします。皆さんと過ごした3年間は、私の教員生活において学びの連続で忘れることができないものとなりました。
西京高校は、「進取、進んで物事に取り組もうとする気性」、「敢為、敢えて困難に立ち向かおうとする気概」「独創、そのような気性、気概をもって自分独自の価値観を作り出していく」、この「進取・敢為・独創」の校是のもと将来、「社会人力」を十分に発揮し、社会で活躍・貢献できるグローバルリーダーを育成することをめざして、教育活動を行っています。「社会人力」とは、人が人として行動できる力。つまり「人と繋がる力」「社会と関わる力」そして「果敢に知と向き合う力」です。私たち教職員は3年間を通して、皆さんに、これらの力をつけるため、日々努力してきたと自負しています。
また、20期生からは社会人力に加え、Creativity(新時代の価値を創造・探究する姿勢)Responsibility(自己と集団の未来に対する責任を果たす姿勢)Diversity(多様化する社会の調和を希求する姿勢)といった資質能力を求めています。いわゆるCReDiクレディです。
特に20期生は、クリエイティブな活動に熱心に取り組んでくれました。新しい企画が次々に打ち出され1年時の流行語大賞に私を選んでくれたこと、よく覚えています。教員もユニークな活動をしており、四国八十八か所巡りは校長として無事に帰ってくるようにと祈ったものです。
西京高校のカリキュラムのうち最も特徴的なのはEP1・EP2の取組です。1年次に行うEP1では、ポスター発表等を通じてグループワークの作法を学ぶとともに日常当たり前だと思っていることに対して疑問を持ち、問題化する力を付けました。また、18期生が立ち上げた国内FWを、さらに充実、発展させてくれました。2年から始まるEP2でのゼミ活動では、グループでの探究の進め方や課題の立て方、調査方法を総動員して、自らが深めたい問いについて探究し論文にまとめ発表しました。これらの活動は自分自身で問題点を見つけ、改善のための仮設を立て、検証し、論文にまとめ発表するという大学での研究活動につながるハイレベルなものであったと思います。
EPだけでなく、各教科の勉強、西京祭などの特別活動、そして部活動においても「社会人力」「CReDi」を身に付けることを強く意識しながら、これからの社会を生き抜いていくために必要となる「思考力・判断力・表現力」の育成のためのプログラムを実践してきました。また、皆さんはICT活用を余儀なくされたのではないでしょうか。ZOOMやYouTubeを用いた授業やグループワークなど、また最近は生成AIを用いた新しい形の学習スタイルに皆さんは慣れていかなければならないと思います。同時に、大切なことは相手を尊重すること、どんな時でも相手を思いやる気持ちを持つことです。時代がどんなに変化しても人として生きていくうえで忘れてはならないことです。
西京高校エンタープライジング科を巣立っていく皆さんにお伝えしたいことが4点あります。
1点目。現代社会は国際化の時代といわれます。企業間では競争が激化し、求める人材のニーズの変化が加速しています。同質な能力よりも多様な能力を必要とし積極的に多様な人材を受け入れ、時代にマッチした能力を確保することを求めています。グローバル化は進展し、世の中はますます多様性に満ちています。今こそ、私達は多様性について客観的な目を持つことに加え、自分とは違う物の見方や考え方をする人がいるという「多様性を常に意識することができる力」、つまり「多様性への寛容力」を持つことが大変重要になってきていると思います。京都大学 総合博物館 准教授 塩瀬隆之先生は、ある講演の中でこうおっしゃっています。「自分と考え方も言葉も文化も異なる人たちと日常的に接することは口で言うほど簡単ではありません。違和感も生じることがあるでしょう。しかし、そこから始まって差異が楽しめるかどうかで、その後の人生は大きく左右されると思います。大事なのは自分を常に見つめ直すこと。異質の中に身を置いてみることほど有効な方法はありません。その違和感によって振り動かせて変る自分が、本当の自分かもしれないし、それでも変わらない自分が自分なのかもしれない。」と。
皆さんには多様化し、グローバル化している社会において他者の視点を知ると同時に、自らの視点を知ることのできる「対話」を通じて自分を成長させて欲しい、そして判断する際には一面的でなく多面的な視点をもって答えを出してほしいと思います。
2点目。これから大学や大学院で研究をし、社会にでて活躍・貢献を期待されている皆さんにとって、日頃、当り前だと思っていることを批判的に捉え問題化することが大切です。自分が興味を持ち、どうしても解決したいと思うテーマを、世界のつながりの中で是非設定してほしいと思います。一体これは、なぜなのだろうかという驚きと、それに対する執着心、尽きぬ興味を持ち、こんなことが実現できれば素晴らしいといった憧れを持ち続けることが大切なのですす。「常識を疑う」ことはとても勇気のいることです。でも、子供のような純粋な探究心をもち続けること、既存の価値観に縛られることなく自身の信念をもってすすむこと、そうすれば、様々なフツーという概念から解き放たれ、皆さんは自由を手に入れることができます。失敗や批判を恐れず、敢えて困難なことにチャレンジすることを意識的に行ってほしい。そして、チャンスと可能性を自分から手放さないでください。あきらめずに挑み続ければ必ず道は開けます。本当の負けは挑戦することをやめたときです。
3点目。平成31年度東京大学の入学式において、社会学者で東京大学名誉教授の上野千鶴子先生の祝辞の一部を紹介します。
「あなたたちは頑張れば報われる、と思ってここまできたはずです。がんばったら報われるとあなたが思えることそのものが、あなたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったことを忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手をもってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には頑張っても報われない人、頑張ろうにも頑張れない人、頑張りすぎて体と心を壊した人達がいます。頑張る前から「しょせんおまえなんか」「どうせ私なんて」と頑張る意欲をくじかれる人たちもいます。あなたたちの頑張りを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力を恵まれない人々をおとしめるためにではなく、そういう人々を助けるために使ってください。」
西京の教育理念の中に、社会で活躍・貢献するグローバルリーダーの育成を掲げています。もちろん自己実現のために頑張ることは言うまでもありませんが、「ノブレスオブリージュ」の精神を忘れず「世のため人のため」に努力してください。上野先生の話には続きがあります。「決して強がらず、自分の弱さを認め、支えあって生きてください」
絶対に無理はしないで、皆さんの命を大切にしてください。
4点目です。明治維新の陰の立役者とも言われる吉田松陰は、江戸時代末期に彼が長州 萩の松下村塾で指導した中から、久坂玄瑞、高杉晋作、伊藤博文、山県有朋など明治維新に関わる多くの人材を輩出しています。松陰は「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし」と述べています。夢があれば成功するとは言えませんが、「成功する人は夢を持っている」といえるのではないでしょうか。夢を持つことは簡単なことではありません。しかし、毎日自分のやるべきことを考え続け、問いつづけることによって、あなたのやりたいこと、つまり夢が見つかると思います。たくさんの人や本と出合い、経験する中で考え、問い続けてください。
最後になりましたが、保護者の皆様に一言お祝いを申し上げます。本日は、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。この間、様々な出来事があり、何かとご心配をおかけしたこともあろうかと存じますが、それに関わらず、本校の教育に最後までご理解とご支援を賜わり本当にありがとうございました。本日、お子様方は、大きな希望を抱いて本校を巣立っていかれますが、後に続く在校生とともに、卒業生の想いを引き継いで、西京高校がより良い学校になりますよう、私たちも努力を重ねていきたいと存じます。今後とも、本校教育に御支援を賜わりますようお願い申し上げます。
本日は誠におめでとうございます。
以上、式辞といたします。
令和7年2月28日
京都市立西京高等学校 校長 岩佐 峰之