社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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10月26日(水)16時から約2時間,京都産業大学神山ホール(京都市北区)にて大隅良典先生(東京工業大学栄誉教授)の講演会が行われ,本校1・2年生の希望者33名が参加しました。(全体の参加者は,ホールがほぼ満員となる約1,200名です。)
これは,京都産業大学が本年4月1日に開設しましたタンパク質動態研究所の開設記念シンポジウム「タンパク質のゆりかごから墓場まで」の第2部(第1部は研究者のみ対象)として実施されたもので,大隅先生は同研究所の招聘教授に就任していらっしゃいます。
講演会は,まず,「7人の侍」(大隅先生と研究分野や年齢が近く,飲み仲間でもある研究者を,藤木先生[九州大学特任教授]が日本映画「七人の侍」にちなんで名付けたそうです。)のうち,6人の方々のお話(・・・大隅教授との関わりや,研究以外に大事なこと等)から始まりました。ノーベル賞受賞決定後に全員が揃われたのはこれが初めてとのことで,それぞれ大変な業績を上げられていらっしゃる方が一堂に会した,まさに研究者垂涎の催しとなりました。
その後は,待ちに待った大隅教授の講演です。「酵母のオートファジー,その機構と今後の課題」と題されたお話の中で,「(受賞が決まってから)この数週間はどうやって生きてきたのかと思うぐらいの環境の変化だった」と振り返りながら,オートファジー(自食作用)の仕組みを見つけた経緯や研究の現状を説明して下さいました。そして,研究で流行を追わない大切さを説明した上で,「大事な現象を自分で見つけてサイエンスを楽しんでほしい」と呼び掛けられました。
講演の最後に先生が高校生に語られたメッセージを載せたいと思います。
「私が思うこと,若者へのメッセージ」
1.自分の興味,抱いた疑問を大切にしよう
2.長い人類の歴史の中で考えよう
3.はやりを追うことはやめよう
4.競争だけが科学の本質ではない
5.“役に立つ”とは何かを考えよう
6.人と違うことを恐れずに,自分の道を見極めよう
7.短期的だけではない,長い研究課題を育てよう
8.自分の小さな発見を大事にしよう。論文やあふれる情報からでは
なく,自然・現象から出発しよう
9.自分の研究の理解者(ファン)を,できるだけ周りに作ろう
参加した生徒の皆さんには,この経験を糧に,好奇心を向ける対象・間口を広くとるように心掛け,主体的かつ楽しみながら学びの世界を探検・開拓していってほしいと思います。
[参考1]大隅教授以外の“7人の侍”メンバー(敬称略・順不同)
永田和宏(京都産業大学タンパク質動態研究所所長・
総合生命科学部生命システム学科教授)
伊藤維昭(京都産業大学シニアリサーチフェロー)
吉田賢右(京都産業大学シニアリサーチフェロー)
三原勝芳(九州大学名誉教授)
藤木幸夫(九州大学特任教授)
田中啓二(東京都医学総合研究所所長・
京都産業大学タンパク質動態研究所招聘教授)
[参考2]大隅先生が平成24年に京都賞を受賞なさった際にも,当時の
本校1・2年生希望者24名が,御縁あって記念講演を聴講
しています。
期日:平成24年11月14日(水)14時から16時15分まで
場所:京都大学芝蘭会館
演題:「科学する心-発見の喜び-」
対象:本校生を含む京都府内の高校生約230名
備考:第28回京都賞(基礎科学部門)受賞を記念する青少年育成
プログラム「生物特別講義」として実施されたもの。先生は,
研究の信条として「流行を追わないこと」を挙げ,「人の
やっていないことの方が新しいことを見つけやすい」とチャ
レンジ精神の大切さを説かれました。講演後は,大隅先生を
囲んで高校生代表との質疑応答が行われました。