社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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11月7日(月)~10日(木)の2年生社会科学系コース「日本史B」「地理B」において,3時間連続で,シミュレーションゲームを取り入れた授業「京都に鉄道の新路線を引くならどこに引く?」を行いました。
これは,京都市教育委員会の「政治的教養を育む教育学習指導案集を活用した教育実践事業」の一環として,公民分野以外でシティズンシップ教育を行う際の一例として実施したものです。
「京都に鉄道の新路線を引く」というテーマは,生徒たちの居住地あるいは学校所在地としての京都という土地に関する理解を深めるだけでなく,これまで学んだ「日本史」と「地理」双方の知識を活用しながら取り組むことのできる実際的な問題であることから,普段は「日本史」と「地理」それぞれの講座に分かれて行っている授業を学級単位に再編成し,合同授業の形で行いました。
【授業内容】
[テーマ]
京都に新しく鉄道の路線を作ることになりました。自分の利益も大きくしつつ,京都のことも考えて,新路線案を完成させて下さい。
[役 割]
「議員」「住民」「施工業者」の3つがあり,各クラス(39名)内を8グループに分け,それぞれ「議員」1グループ,住民5グループ(地域),施工業者2グループに分かれます。
[各グループのミッション(目標)]
議員=住民グループから意見を聞いて「予算」及び「路線の最終案」を
決定する。(信任投票で賛否を問い,過半数の信任を得られれば
可決となる。)なお,各地域の住民や施工業者の意見を調整する
ことも可。
住民=自らの地域に新たな駅を作ってもらえれば,地域が潤い,利益が
入る。そのため,議会に新たな駅を作ってもらえるような路線案
を提案する。
施工業者=最終案で業者として採択されることを目指し,議会や地域住
民が作った路線の見積もりをする。(原価額は施工業者しか知ら
ず,最終的に利益を得ることも求められる。)
各グループには京都市域が印刷されたマス目入りの大判地図が渡され,それをもとに各自の目標を達成できるよう活動しました。調査研究・利便性やコストの検討・地域間の意見調整・利益最大化等,生徒たちはグループごとに精力的かつ真剣に取り組んでいました。
結果としては3クラスとも議会の最終案が信任され,ハッピーエンドとなりましたが,「過半数ぎりぎりで可決」のクラスから,「反対者がほとんどいない」クラスと様々で,非常に面白い結果となりました。
シミュレーションゲームを行う中で,地域の関係者として「政治」に関わること,また「政治」が進んでいく過程を疑似体験することが目的でした。この取組を通して,「政治的教養」を政治的関心や政治に関する知識としてとらえるのではなく,社会の中で常に生じる選択と決定の過程を「政治」と捉え,自分たちも社会の一員として政治に関わっている(関わっていく)ことを自覚させることができたのではないでしょうか。
「政治」に参加する際に何を考え,どのように判断することが求められるのかを疑似的に体験することで,判断の材料を収集し,自らの考えをまとめ,他者に伝えるという情報活用能力やコミュニケーション力・表現力の重要性,意見が異なる他者への配慮も考え合わせながら課題を解決していく態度といったものに気づいてもらえればと思います。
最後の振り返りの時間には,各クラスの最終結果の違いなども比較しました。こうした取り組みを通じて,主体的に社会を担っていける生徒の育成を進めてまいります。