社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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11月12日(土)土曜活用講座終了後の11時50分から,7階大講義室にて,EEP特別授業を行いました。講師は浅利美鈴先生(京都大学地球環境学堂准教授)で,テーマは「災害時の初動&災害ボランティアミニ図上演習」です。
この特別授業は,「京都市市民協働発電制度」を利用して平成25年3月から本校屋上に設置・運用されている太陽電池パネルの運営主体である「一般社団法人びっくりエコ発電所」様の御厚意で行うものです。発電サイトである本校を発信サイトにもするべく毎年行われているもので,今回で4回目となります。講師の浅利先生には,本校のマネジメント会議やSGH課題研究協力委員会の委員としてこれまでから御指導いただいており,1年生の皆さんにも毎年特別授業を行っていただいています。
昨年までは,「環境教育」として,ごみ削減等に関する取組や御講演をスタッフの生徒とともに進めて下さいました。今年は,「災害(地震を想定)が発生した際の行動」および「災害ボランティアとして災害廃棄物の片付けを手伝うことになった際の行動」を,順を追ってイメージしながらワークシートに書き込んでいき,どのように行動すればよいのかを考えるという,浅利先生の最新の御研究内容をもとにした特別授業を行っていただくことになった次第です。
浅利先生は,「災害は必ずやってくる」ということで,東日本大震災の振り返りから話を始められました。
3・11当日,浅利先生は東京電力「電気の史料館」(横浜市鶴見区・震災後休館中)で「3R・低酸素社会検定合格者ミーティング」に出席しておられ,その時間は尾池和夫先生(京都造形芸術大学学長)の御講演(まさに地震のお話)を聴いておられる最中で,すぐに屋外に避難・待機することになったそうです。
3月25日からは災害廃棄物処理支援のために仙台市や石巻市,陸前高田市等の被災地に入られ,一時集積所の候補地確認・試料採取等に当たられたそうです。写真を示しながら,場所による被害・影響の違い等を説明して下さいました。この時に災害廃棄物処理のマニュアル化・ネットワーク構築が図られ(マニュアルVer.1が4月4日に仙台市長に提出されました),この取組は世界的にも注目を集め,現在は国際ガイドライン作成の作業が始動しているとのことです。
演習を行う前に,その意味・意図(なぜするのか)をまず確認しておきたい,ということで,次のようにお話になりました。
「2030年頃まで,日本は活動期に入っている。災害は,必ずやってくる。いつ大規模・中規模の地震が起こるか分からない。(ちなみに,東日本大震災は中規模地震) →知って,共存することが重要。(変動帯ならではの恵み[温泉・地下水・農業等の恩恵]に与っているという面もある)また,被災者だけでなく,支援者の動きも重要。」
「災害は,忘れたころにやってくる。 →経験を忘れず,防災を継続していく必要がある。」
そして,そういったことを予め知るための手法として防災訓練や図上演習等があり,今回は時間等の制約から,一人一人がシートに記入する形式で行う「ミニ」図上演習となったわけです。(本来の図上演習は,グループに分けて半日程度の時間をとって行うものだそうです。)
浅利先生は,まず,「災害初動」「応急復旧」「復旧」「復興」といったフェーズごとの様子や廃棄物への対応,今回の演習の設定等について説明して下さいました。
[設定]
演習1:登校前に自宅で大規模地震に遭遇
時間経過や状況の説明に合わせて,自分がどう動くかを想像し
ながら空欄を埋める
演習2:被災地から離れており,ボランティアに行く
発災後の動きをイメージしつつ,持ち物を考えて書き込む
なお,演習1では,「高度利用緊急地震速報発報端末」(本校にはこの夏から導入されました)の訓練音を開始の合図に用いて下さいました。
生徒たちは短い時間の中で,何とか考えて想定される行動や必要なものを埋めていきました。
記入・回収の後,例えば,被災直後は「火の始末・初期消火/避難路確保,靴を履く/ラジオで状況確認」,ボランティアとしては「汚れても良い長袖・長ズボン/底の丈夫な靴・長靴/軍手(分厚いゴム製)の用意」等,ポイントごとに詳しく解説をして下さいました。
最後に,災害廃棄物の撤去・処理は,被災地の復旧・復興に向けた第一歩であり,事前に「減災のための備え」「災害発生時の対応計画」等を持っておくと,いざという時に役立つとお話し下さいました。そして,「仙台市におけるドライブスルー形式による一時集積所での災害ごみ分別の様子」「作業は安全第一で(ごみの中には危険物が混じっていることがある。ヘルメットやゴーグル等で身を守りながら,危険物を梱包・ラベリング)」の例を実際の写真を示しながら解説して下さいました。
締めくくりに,尾池和夫先生の言葉「知って備える」(地震を知って震災に備える)ことの重要性を述べて,特別授業を終えられました。
今回の特別授業は高校ではおそらく初の取組であり,災害多発列島日本に暮らす私たちにとって,すぐにでも役立つ内容です。生徒一人一人の意識が高まり,ひいては家族・地域へとその輪が広まって,「災害に強いまちづくり」「助け合いの輪の広がり」の一助となれば幸いです。浅利先生,お忙しい中御講演下さいまして,誠に有り難うございました。