社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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御講演に続いて進行役の近藤滋先生(大阪大学教授)が登壇され,会場の高校生と本庶先生との質疑応答セッション「京都賞受賞者を裸にする」が始まりました。「がんの免疫研究について」「研究一般について(研究職について,生命科学を学ぶことなど)」「その他,本庶博士個人について」という3つのパートに分かれており,高校生たちはあらかじめ質問内容を大きく書き込んだフリップを大きく掲げてアピールします。近藤先生が高校生を指名し,本庶先生から回答やコメント・アドバイスなどが伝えられます。(採用されると本庶先生のサイン入り色紙がプレゼントされます。これを聞いた生徒たちは,文字を大きく太くする等,目立つよう手を加えていました。)
全体の中で最初に指名されたのは,本校2年生の江ノ畑さんでした。
「あと何年ぐらいでがんを克服できますか?」という問いに,本庶先生は「正確に何年と答えるのは難しい。今は明るい光が見えているので克服は可能。」「君が研究者になる前に問題がすべて解決されてしまうと困るってことか? それは大丈夫。」等,ユーモアたっぷりに答えて下さいました。
西京生は,全部で3名指名していただきました。
同じく2年生の安井さんの質問は,「好きな免疫細胞は何ですか?」というユニークなものでした。先生は,「強いて言うならTリンパだが,免疫細胞はとてもダイナミックな組織なので全体として捉える大きな視点が大切。」「その質問は,コンピュータを持ってきて“どのチップが好きか”と聞いているのと同じ。」とお答えくださいました。
1年生の大畑さんは,「高校生の時に熱中したことは何ですか?」という問いでした。先生は,「勉強もしたけど,よく本を読んだ。そして人生の生き方を考えた。」「特に柴谷篤弘先生の『生命学の革命』には大きな影響を受けた。」とおっしゃいました。
他にも,「死因第1位のがんが克服できたら,人は何で死ぬようになるのか」「一流とは何ぞや」「不老不死になりたいですか」等の質問があり,それぞれ「どうやって死ぬのが幸せか,考えている。老衰で死ぬのが理想だが,認知症が大きな課題になると思う。」「国内で一番ではなく,世界で初めて,人類にとって初めての謎を解明すること。」「生物とは,死ぬからこそ生物。いかに生きるかと同じく,いかに死ぬかが大切。」と答えて下さいました。
最後に,本庶先生は,
・ここにいる10%,いや1%でも研究をやってみようと思ってもらえ
たら話をした意義がある。
・研究者になろうとする人へ「大切なこと」
自分の中で知りたいことが出てくる
教科書のようにきれいにまとめてわかりやすく書いてあることの中
に,「どうもおかしい」「うさんくさい」「何かごまかしがあるの
ではないか」と思う人は研究者向き
自分の好奇心を大切にして,むずかしい課題であっても挑戦してほ
しい。
・研究者に大切な3つのC
curiosity(好奇心),challenge(挑戦),courage(勇気・度胸)
・研究を始めてから大切な3つのC
continuation(継続),concentration(集中),confidence(自信)
「これが研究者への道です。」とメッセージを締めくくられました。
生徒の感想です。
「“好奇心を大切に生きる”というフレーズが印象的でした。当たり前を疑うことの大切さを感じました。」
「先生の研究自体はもちろん,人生観等の考え方の面でもすごく興味深いお話をたくさん伺うことができて,とても有意義な時間になりました。今後は私も,様々な分野に関して自分の考えを持っていきたいと思います。」
「とにかく様々なものに触れてみて,広い視野で物事を見てみるということが今の自分にとって大事だなあと思うことができました。」
「スタッフ活動は忙しかったけれど,自分自身の成長につながったと思います。事前学習の準備の時間がもう少し長かったら,もっとアピールできて参加者が増えたのでは,と思いました。」
生徒スタッフとして活躍した生徒のみなさん,講演会に足を運び博士の御講演に耳を傾けた生徒のみなさん,「謦咳に接する」という言葉がありますが,テレビの画面や活字越しではなく,先生のお人柄を感じながらの本当に貴重でかけがえのない経験ができたことと思います。今日の講演で得たものを自からの糧として今後の学校生活や人生に活かし,好奇心を大切にして,勇気を持って挑戦し続けていってほしいと思います。