社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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11月19日(土)10時から17時まで,立命館梅田キャンパス(大阪市北区)にて,「トビタテ!留学JAPAN【高校生コース】」第2期派遣留学生秋季事後研修(大阪会場の第2日目)が行われ,本校からは,この夏に「国際ボランティア」分野でインドネシア・バリに留学した筒井隼介君(1年生)が参加しました。
官民協働海外留学支援制度,通称「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」は,平成25年10月からスタートした大学生・高校生の海外留学をサポートするプログラムで,高校生コースは昨年度から始まり,今回が第2期生となります。全国816校2,057名(昨年度は218校514名)の応募者から,書類選考及び面接試験を経て,330校510名が選出され,本校からも「アカデミック」「スポーツ・芸術」「国際ボランティア」の3コースに各1名(女子2名,男子1名の計3名)が採用され,この夏目的の場所にトビタち,元気に帰ってきました。
今回の事後研修会の参加対象者は9月30日(水)までに帰国している第1期及び第2期の派遣留学生で,11月5日(土)~23日(祝)の間[土・日・祝日が7日間あります。]の,事務局から指定された日・場所(東京または大阪で計9回設定されています。)に参加することとなっています。本校からの派遣留学生は,大阪(日によって場所は異なります)で11月6・19・20日にそれぞれが受講することになっています。
大阪会場2日目(全9回中の7回目)となるこの日は,西日本の派遣留学生52名が参加しました。
研修会は,「相互に学び合いながら自らの留学体験を言語化し,多面的に意味づけることができるようになる」「トビタテ!留学JAPANのエヴァンジェリスト(=伝道師)活動を具体的にイメージする」「未来と世界と人生に向けたネクスト・チャレンジを具体化する」ことを目的とした午前・午後の2部構成で,鈴木大樹氏(GiFT[Global Incubation×Fostering Talents:一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト])の進行により行われました。
午前の部は「自分の体験の価値を振り返り,言語化する」<言語化し,発信・共有する>こと,午後の部は「留学中の生活についてイメージを具体化する」<今日を起点に明日からの未来を考え,人生をクリエイトしていく“未来に向けた事前研修”とする>ことをテーマに行われました。
【前半】
自らの留学体験を振り返って言語化し,シェアする手始めとして,“この場の多様性を感じ取ろう”ということで,「Four Corners」というアイスブレイクを兼ねたアクティビティが行われました。(“フォーコーナーズ”といえば,アメリカ合衆国西部にある「四重境界点」[ユタ・コロラド・ニューメキシコ・アリゾナ各州の境界線が一点で接している場所]の呼称ですが,ここでは,「お題ごとに同じ心情の者が部屋の4隅に集まって内容を相互に披露する」というものです。)
3人一組になって座っていた生徒たちは立ち上がり,ファシリテータの鈴木さんが出すお題(「今の気持ち」「留学した分野」「留学したエリア」「留学体験を一言で振り返ると」等)ごとに4隅に分かれ,2人ペアで思いを共有した後,全体でもシェアしました。
次に行ったのは,「留学体験のエレベーター・トーク(『エレベーター・ピッチ』・『エレベーター・ブリーフィング』等とも呼ばれています。)」です。
エレベーター・トークという名前は,アメリカ・サンフランシスコのシリコンバレーで,起業家がベンチャーキャピタルや投資家の勤務するオフィスのエレベーターの前で待ち伏せし,偶然エレベーターに乗り合わせたふりをして,短時間に(30秒程度で)自らの事業内容の魅力を伝えることに成功し資金調達にこぎつけた,というサクセスストーリーからきています。
生徒たちは会場内を自由に動き回りながら,軽やかなベルの合図とともに用意したポスターやタブレットの画面等を示して,限られた時間の中で出来るだけ留学体験エピソードや気づきを伝えようとしていました。このセクションも,最後に全体で振り返りを行いました。
3つ目のセクションは,ビデオメッセージと趣旨説明です。
この取組のプロジェクトディレクターでいらっしゃる船橋力氏(NPO法人TABLE FOR TWO International理事/株式会社ウィル・シード取締役会長)からの,約10分間のビデオメッセージが会場に流されました。
船橋氏は,
「この事後研修に当たっては,きちんと振り返り,自分の言葉で話してシェアして下さい。グローバルリーダー,強いリーダーほど,自分の弱みを吐露できるものです。あなたの留学体験を伝えることで,他の人が間接的に体験できます。お互いのために話して下さい。」
「この研修は未来に向けた事前研修でもあります。3点お願いしておきます。(1)20代のうちに3回(高校・大学・社会人で各1回)は留学して下さい。世界は刻々と移り変わっています。定期的に,そして何か国かから見ることが大切です。(2)その際,自分の夢・目標・ワクワクするもの・熱中するもの・覚悟・意志をもって見つけに行って下さい。大人は,誰も未来を知りません。大人を信用しないようにして下さい。(3)トビタテ!生として,日本代表の自覚をもってこれから歩んでいって下さい。」
「皆さんは,留学を終えただけで,まだ何も成し遂げてはいません。しかし,皆さんは2,000人の希望者の中から選ばれた500人です。選ばれなかった1,500人の思いももって,これから頑張ってほしい。」
「トビタテ!には大学生コースもあります。更に難度の高い,発展した留学をして下さい。」
と,熱く語って下さいました。
続いて,水口貴之氏(文部科学省国際教育課)から「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム【高校生コース】」について説明がありました。
背景・目標・狙い等についてお話になり,「皆さんは,大きな期待と願いを背負っています。」「トビタテ生の,留学の段階に応じて期待される3つの役割(<留学を通じて最大限に成長し,将来のグローバルリーダーを目指す><留学期間中は“日本のアンバサダー=大使”として日本の良さを発信し,世界に日本のファンを増やし,人脈を構築・継続させる。><帰国後は“留学のエヴァンジェリスト=伝道師”として,自分の地域や学校等で海外の魅力や留学で得た体験を周りに伝える。>)を果たせるよう頑張って下さい。」「今日の事後研修,これだけのメンバーはそう揃わない。とにかく楽しみ,お互い学び合い高め合おう」「良いことも悪いことも全部さらけ出し,どんな経験だったかを自分の言葉で語って,その経験をシェアしよう」「今日の仲間から3人の新しい友達を作り,刺激し合える関係を。今後に向けた“事前研修”になるように」と,期待を込めてエールを送られました。
4つ目のアクティビティーは,「ストーリーテリング」です。これは,事前に用意した「私のエナジーカーブ」シートを使って互いの留学体験(それぞれのUP-DOWN物語)を語り合い,インスパイアし合うものです。まずは,トビタテ!(大学生コース)1期生の方が全体の前で「例」として御自分の経験を発表して下さいました。(ちょうどこの時,和歌山を震源とする地震が発生し,会場[ビルの14階でした]はゆらゆらと揺れました。)
そして,進行方法と約束事の確認を行いました。
「話し手は,事実の羅列・説明をするのではなく,その時の感情やエネルギーの状態,今だからこそできる意味づけなどを,シートを見せながら制限時間の6分を目一杯使って“語って”下さい。」「聞き手は,相手の存在自体に興味関心をもって,質問等で話を途中で遮らず,温かく,包み込むように耳を傾けて下さい。話を聞き終わったら,メッセージを付箋に書き,内容を読み上げて相手に渡して下さい。」
というルールでした。生徒たちはグループごとの席に掛けた状態で,約30分間にわたって経験を語り合っていました。自分の体験を語るだけではなく,相手からフィードバックをもらうことによって,より自分の経験を深化させることができていたように思います。
前半最後となる5つ目のアクティビティーは,「私のトビタテ体験」です。
配られたシートに「私にとって留学とは」をワンフレーズで記入し,トビタテ前→中→後(=今)にどうなったか,その移り変わりを具体的な出来事を通して書き,発表し合ってグループでシェアし合いました。
【後半】
後半の最初は,1つのグループが3人から4人に変わり,新たなメンバーのもとで始まりました。
一つ目のワークは「トビタテ!ミッションシート」と「振り返りシート」をつなぎ,互いに交流し合うというものでした。
ここまでが過去のリフレクションで,これから後は,未来に向けてのワークです。
2つ目のワークは,「トビタテ!ヒーローインタビュー」です。
グループの中で2人ずつのペアになり,配付されたワークシート(「○年後の20○○年,最も成功しているあなたを想像して下さい。その時,何歳ですか?」とあり,「トビタテ!参加後どのように過ごし,今どんなことを社会に発信・貢献していますか」「次の目標は」等の質問項目が書かれています。)に沿って,それぞれ「未来の成功している自分」「やり手の新聞記者・著名インタビュアー」になり切って5分間のインタビューを行います。筒井君は,鈴木氏による説明の際に突然インタビューを受けましたが,20年後・40年後の姿・目標をしっかりと答えていました。
終了後の振り返りでは,「無理やり答える中で,やりたいことが見えてきました。」「やりたいことを口にしたことで,課題が見えてきました。」等の感想が出ていました。
そして,このあとは元の3人グループに戻り,「エヴァンジェリストとして“やったこと”と“したいこと”のシェア」「新しいエヴァンジェリスト活動を想像して創造する(グループで考えて共創する)」活動の後,「トビタテ!体験報告会デモ」をグループで考え,トビタテ!の良さと魅力を伝える5分間のポスタープレゼンテーションを行いました。準備時間は約40分と限られた中ではありましたが,生徒たちは協力して個性豊かなプレゼンテーションをすることができていました。(ポスタープレゼン終了後は,全員で各グループの発表内容をシェアする「ギャラリーウオーク・セッション」を行いました。)
締めくくりに「今日の事後研修で私は何を感じ,何に気づき,何を学んだか」を全体でシェアし,今後の決意を一人ずつ発表して,一丁締め(関東一本締め)で元気よく会を閉じました。
参加した筒井君の感想です。
トビタテ!の事後研修は「未来への事前研修」でした。留学の成果や苦労を振り返り,自分の留学に意味付けができた気がしました。また,他のトビタテ生の体験や考え方を聞き,視野が広がりました。トビタテ生の多種多様で有意義な夢が全て実現すれば・・・と考えると,とてもわくわくします。自分の未来や将来の夢を再確認し,そのために今何をしなければならないのか,深く考えるきっかけになりました。
これを読んでいる皆様にも,トビタテ!をお勧めします。
参加したトビタテ生の皆さん,派遣同期生や留学先で出会った人との横のつながり,また高校生コース第1期生や大学生コースを含めた縦のつながりを共に大事に育てていき,大きなネットワークにしていければ何よりだと思います。
この経験を糧に,今後も大きく羽ばたいて下さい。期待しています!
[本校からの派遣留学生・分野・派遣先]
山下美咲(1年) アカデミック(テイクオフ)
イギリス
藤井美月(1年) スポーツ・芸術
オーストリア・ウイーン
筒井隼介(1年) 国際ボランティア
インドネシア・バリ