社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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1月26日(木)6限のエンタープライズI(「総合的な学習の時間」の校内呼称で,1年生全員必修です)は,7限のロングホームルームの時間とドッキングして,3月に迫ってきました「海外フィールドワーク(以下,FWと略します)事前学習」を行いました。4月入学以降,全7コース[シンガポール,マレーシア,タイ,ベトナム・カンボジア,インドネシア,上海,グアム]の研究から所属コースの決定,夏課題・秋課題の作成,グループごとの調査テーマ決定,行程の検討等,継続して取り組んできたFW事前学習もいよいよ大詰めです。
今回は,いつもお世話に与っております浅利美鈴先生(京都大学地球環境学堂准教授)をはじめとする京都大学の皆様の御協力により7名の留学生の方々が御来校下さり,マレーシア,タイ,ベトナム・カンボジア,インドネシア,上海の5コースの事前学習にお入りいただきました。
各コースとも,留学生の皆さんの自己紹介から“交流授業”が始まりました。それぞれのコースの生徒全体を前にさまざまな質問に答えて下さったり,グループごとに分かれてからは,現地での班別行動時のアドバイスを与えて下さったりと,大変意義深いひと時となりました。
この中で,インドネシアコースの様子を一部御紹介します。
このコースには,3名の留学生の皆さんがお越しくださいました。
Agung Brewokさん(京都大学アジア・アフリカ研究所)とBeni Slistionoさん(京都大学大学院医学研究科[脳卒中のメカニズムを研究中だそうです])はジョグジャカルタの御出身,Yulius Hermantoさん(京都大学iPS細胞研究所[ノーベル生理学・医学賞を受賞された山中伸弥所長のもとで,iPS細胞の研究をしておられます])はスマトラの御出身だそうです。
※備考:
ジョグジャカルタは古都です。京都府との友好提携州省(昭和60
年[1985年]締結)の一つで,「世界歴史都市連盟」加盟都市
でもあります。
自己紹介が終わると,生徒からの質問タイムです。とはいうものの,生徒たちは少し躊躇している様子。数名の生徒が積極的に手を上げて,「なぜ日本に来たのですか?」「日本に来て一番驚いたことは何ですか?」,そして「インドネシアは暑いイメージがありますが,日本の冬は大丈夫ですか?」など,思い思いの質問を投げかけて口火を切っていました。
約10分の休憩を挟み,今度はグループに分かれての作業(班別行動時の行き先の検討等)を行いました。
留学生の皆さんは教室を歩き回り,各班にアドバイスをして回ります。休憩を挟んで緊張も解けたのか,生徒とたちは先ほどとは打って変わって積極的に質問し,「ジャカルタの治安は」「礼拝はどのくらいするのか」等,何とか英語を絞り出しながら書物やインターネットではわからないことをいろいろと聞いていました。中には,「宗教の多様性を維持したままで,国家として成り立つのは何故か」といった,かなり深い質問もありました。
最後の10分では,「インドネシア語講座」が行われました。「こんにちは」の言い方,そしてその言い方が時間帯によって異なることなど,生徒たちは興味を持って話に聞き入っていました。さらに,数人の生徒から積極的に質問が投げかけられ,「これはいくらですか?」はどのように言うのか,等しっかりと質問ができていました。最後は,みんな揃って「Terima Kasih!!」(=ありがとう)と言ってお別れを告げました。
他のコースでも,英語を用いながら,「チップは必要ですか」「アンケート調査のこの質問は,失礼には当たらないでしょうか」など,現地での活動に関わる具体的な質問が飛び交う等,活発な議論ができました。
生徒たちは海外FW終了後すぐに「まとめ」にかかり,2年生での「エンタープライズII」(以下,「EPII」と略します)でレポートを完成させ,5月末に後輩への発表会を行って成果を引き継ぎます。
重要なことは,「自ら疑問を持ち,自ら問いを立て,それを明らかにすべく自ら考えること」です。しかしながら,「疑問を持つ」ためには,インプットが必要不可欠です。たくさんの「知」に触れずに,「なぜ」を問うことは不可能だからです。
皆さんが取り組んでいる海外FWのハイライトである「現地での活動」は,座学によるインプットではなく,その場に身を置き,同年代の生徒との交流や,交通状況や現地での“常識”を目の当たりにすること等,一つ一つの「実体験」という強烈な経験を通じたインプットであるという点で,大変貴重な5泊6日となるはずです。
その中で芽生えた問題意識を発酵させて,6月以降のEPIIで取り組む「課題研究」のグループ論文につなげて下さい。
今回の留学生の皆さんとの交流という,一つの「実体験」を通して,生徒たちの「なぜ?」が増殖し,彼らの「問い」がより深化されることでしょう。忙しい中足を運んで下さいました留学生の皆様,ありがとうございました!
なお,留学生を交えての事前学習は,2月2日(木)にも第2回目を行う予定です。