社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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1月28日(土)土曜講座終了後の11時50分から,7階大講義室にて,1年生全員を対象として特別講演会を行いました。
講師は,株式会社「千總」製作本部課長・商品開発プロデューサーの今井淳裕先生です。実物を是非見てもらいたいということで,訪問着や小紋,さまざまなコラボ商品等をお持ちくださいました。
株式会社「千總」は,弘治元年(西暦1555年=川中島の戦いがあった年)創業の約460年に及ぶ長い歴史を有する老舗であり,「友禅染呉服製造卸」として揺るぎない地位を誇り,伝統を守ると同時に常に時代が求めている新しい価値の創造にも積極的に取り組み,変革を続けている企業として世界にその名を知られている会社です。
今回は50分という限られた時間でしたが,「きもの」の基礎的な知識をはじめ,友禅染の工程についても映像資料を用いながらわかりやすく説明して下さいました。・・・呉服の種類と着用シーン,着物の時代による変遷,吉祥文様や御所解模様,千總のものづくり(企画力とデザイン力をもとに染匠等各工程の職人に依頼し,トータルにまとめ上げていく)等です。例えば,
・「御所解模様」には源氏物語の場面に依拠した図柄等があるが,これは
見る人に教養がないと,着ている人の意図が伝わらない。つまり,互い
の教養を競っているということ。
・北向きの窓から光を取り入れた部屋で,しっかりと相互のコミュニケー
ションをとりながら製作や打合せを進めており,例えば配色を検討する
時も,パソコンの画面上で行うのではなく実物を置いて色目を合わせな
がら考えている。
・資料室には8,000冊余りの美術書があり,図案の意味を再確認した
り,時代考証をしっかりと行ったりしながら,平面(広げた時)でも立
体(お客様がお召しになった時)でも美しく映えるようにデザインして
いる。
その他にも,「紙にデザインを描く,生地に下絵を描く,糊を置く,それぞれ絵を描く技量がないといけないが,求められるスキルは各工程でまるで違う。」「絹糸から作られる白生地はまさに製品の品質そのもの。千總では,純国産絹糸を守るため,国産絹糸のうち一割を使用している。」「京都の水は量が豊富で水質も適している。それで友禅染が発達した。」等,伝統と技術に裏打ちされた友禅染の貴重なお話を伺うことができました。
また,現在の千總が他業種とのコラボレーションを進めておられる様子についても説明して下さり,自らが持つ技術やデザインを幅広い業種に提供して,今の環境に合ったものを提供するよう工夫しておられることなどもお話下さいました。「伝統とは,『守る』ことではなく『創る』こと。」という言葉が印象的でした。
生徒の皆さんには,日本文化の精華の一つである着物について学んだことを一つの契機として,これまでの「抹茶碗の絵付け体験と茶道実習」「能楽鑑賞会」等での実体験もあわせながら自らの文化について理解を深め,それを基盤として,3月の海外フィールドワークでさまざまな国や地域の人々と交流を行う際に,文化・風習等の相違点やそれぞれの良さについて考えを深めてもらえればと思います。そして,常に新たなものに挑戦し,作り出す気概を持ち続けてください。
お忙しい中御来校下さり,貴重な着物を展示しながら御講演を行って下さいました今井様をはじめとする株式会社「千總」の皆様方に,御礼を申し上げます。誠に有り難うございました。