社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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3月1日(水)午前10時から,本館7階の京一商西京メモリアルホールにて,平成28年度卒業証書授与式を挙行しました。本日卒業式に臨んだのは,自然科学系コース166名,社会科学系コース100名,総計266名(男子116名,女子150名)のエンタープライジング科第12期生です。
卒業証書授与に続く校長式辞で,竹田昌弘校長は,「3年ぶりに西京高校に戻り,強く感じたのは,皆さんの学習に対する取組の真剣さ・深さ,そしてこの学び舎で西京生全員が盛り上がろう・つながろうとする一人一人の意識の高さです。」「夏目漱石がロンドン留学中に,『真面目に考へよ。誠実に語れ。摯実に行へ。汝の現今に播く種は,やがて汝の収むべき未来となつて現はるべし。』と記しています。漱石は,人間が成長していくためには『真面目に誠実に考えること。語ること・行うこと』が大切だと自ら苦しみながら訴えています。『考えよ。語れ。行え。』は,皆さんがこの西京高校の3年間で実践し,大切にしてきたものであり,『進取・敢為・独創』である本校の校是の具現化ではないでしょうか。」
「保護者や学校から与えられる教育は,今日で終了します。いよいよ,これからは主体的な学びへの挑戦が始まります。主体性は,他者の言葉に耳を傾けつつ,他者に流されない態度をとる。一見矛盾する二つの行為を同時に行う,大人へ向かおうとする態度です。西京で培った“エンプラ魂”を胸に,他人に何と言われようが我が道を進む『主体性』と『勇気』を是非とも持って,自分の目指すべき道を進んでいって欲しいと思います。」
「21世紀の日本は,著しい少子化と高齢化で継続的な人口急減社会に入っており,『成長』を至上の旗印に走ってきた“国の在り方”が根本から問われています。日本で働く外国人の数が2016年に初めて百万人を超えました。今こそ,私たちは『多様性への寛容力』を持つことが大変重要ではないでしょうか。」
「世界はイギリスのEU離脱方針,新アメリカ大統領の誕生等で混沌としている一方,グローバル化の中で,地球規模で課題を捉え,世界の人々とともに解決方法を探り,行動していくことが一層不可欠になっています。皆さんには,西京高校で培った『人が人として行動できる力』,つまり『社会人力』をもって,自分の幸せのために,そして周りの人の幸せのために世界の中で活躍し,貢献できるグローバルリーダーを目指してほしいと思います。」
「苦しい,困難な場面に直面した時には,本校学術顧問・赤崎先生の『諦めなければ道は開ける』の言葉を胸に,自分の持ち場で真摯に頑張ることが世の中を変える大きな力となると信じて行動を続けて下さい。社会の中で自分の役割を果たしながら,自分らしい生き方を実現していってほしいと思います。」と述べられました。
また,祝辞の中で,PTA会長北村喜次様からは,「私のこれまでの経験から学んだ,幸福になる方法を一つだけお話したいと思います。」「それは,『あらゆることは最高の結果になっている』ということです。」「これが最高の結果であると信じることができる人は,それ以降も決して諦めることなく努力することができ,人生が良い方向に変わっていきます。言い換えると,“これは失敗だ”と思うことがあっても,それは本当の失敗ではないということです。努力していく限り,必ず道は開けてくるものです。『あらゆることは最高の結果になっている』・・・このことを,今後の人生の様々な場面で思い出して下さい。」とエールを送られ,西京同窓会会長二之湯智様(前田英彦副会長が代読)からは,「学校を卒業するということは終わりではなく,次の段階が始まるということです。青年の未来には無限の可能性があります。常に夢と希望をもち,西京で学んだことを人生の糧として,新しい一歩を踏み出していかれることを期待しています。」「この変化の激しい時代にあって,皆様には未来を切り拓いていく強い精神力と行動力が求められております。そのためには,あらゆることに好奇心を持ち,常に勤勉な気持ちを忘れずに真摯な態度で未来に立ち向かって下さい。」「西京という絆で結ばれた友人との縁を大切に,悔いのない人生を歩んで下さることを希望します。」と,はなむけの言葉をいただきました。
続く送辞で,在校生代表の竹添万夏さんと佐藤奈菜さんは,「私たちは,留学に行く前の半年,あるいは一年半を,12期生の皆さんと一緒に過ごしました。」「12期生から離れてみて感じるのは,この学年とのつながりの大切さ,そして温かさです。一緒にいて落ち着く,とても居心地の良い学年でした。」「部活動でも,12期生の皆さんは後輩にとってとても大きな存在だったと思います。技術面だけでなく精神面でも多くのことを教わり,先輩の姿は憧れでした。」「これから,国際的な場での活躍がますます求められます。エンタープライジング科で培った団結力,計画力,実行力をどうか忘れないで下さい。」と12期生の活躍を讃えつつ,後輩としてその伝統を継承し発展させていくことを誓いました。
この送辞を受けて,卒業生代表の山河絵利奈さんは,l2期生の軌跡を振り返りながら,「みんなといろんな話をして,いろんなことにチャレンジして,全力で行事に取り組んで,でもたまにはちょっとバカなことをやってみたり,かと思えば真剣に人生相談をしてみたり,思い返せばキリがないほど,たくさんのことをみんなと一緒にやりました。高校生活は私にとって,楽しいことばかりではなく,つらいことやしんどいこともたくさんありました。そんな時,周りにいる人みんなが声を掛けてくれて,励ましてくれて,それが私の支えになっていました。私だけでなくいろんな人のことを気にかけて支えようとしている,そんな12期生のことを誇りに思います。今日を機にしばらく会うこともなくなるかもしれませんが,いつかきっとまた集まる時まで,優しい12期生のままでいて下さい。みんなと同じ学年で良かった。3年間,本当に有り難う。」「私たちは,この3年間で培った様々な力と経験を活かし,どんな困難な問題も乗り越えていくんだという強い意志と,新たな日々への大きな期待を持って,明日へ向かって進んでいきます。」と力強く決意を述べました。
式後には卒業生から3年担任団や保護者の皆様への謝辞や合唱も披露され,感動的な卒業式となりました。
※注
式辞中の漱石の文章は,明治34(1901)年3月21日(木)の日記の一節です。なお,文章中の「摯実」とは,「真摯」(=真面目でひたむきなさま)という意味です。
※紅白一対の枝垂れ梅について
平成21(2009)年3月に交通事故により不慮の死を遂げた,故藤原志帆さん(エンタープライジング科第5期生,附属中学第1期生)の御遺族が本校に寄贈されたもので,第5期生の卒業を記念して本館南側の校庭の一角に植樹して下さったものです。