社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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◆まちづくり甲子園2日目(フィールドワーク・中間発表・最終発表)
まちづくり甲子園2日目は,午前中のフィールドワークの行き先に応じて,隠岐しぜんむらを別々の時間に出発しました。本校の生徒は,いずれも海士町内で漁業または観光のFWに参加しました。フィールドワークでは,観光グループは海士町観光協会や町役場を訪問した後,「ハート岩」で知られる明屋海岸のキャンパーや釣り客にインタビューを行いました。町営住宅や土産物屋で島民やIターン者へもインタビューを行いました。また漁業グループは,港から漁船に乗って定置網の仕掛けを見学した後,網の修理の様子を見学し,現地の漁師にインタビューを行いました。
フィールドワークから帰還後は島前高に移動し,最終発表に先立つ中間発表に向けた準備を進めました。どのような提案を行うか議論を進め,順調に進んでいるチームもあれば,方向性がなかなか見いだせず苦闘しているチームもありましたが,参加生徒はいずれも,次第に短くなる残り時間に焦りつつも奮闘していました。中間発表では,各チームが現在構想している内容について,10分間の発表と20分程度の質疑応答を行いました。全体に向けての発表ではなく,小部屋でまちづくり甲子園のスタッフや引率教員,参加者以外の島前高生が聴衆となり,各チームの提案を吟味した。質疑では「誰を対象とした提案なのか」など具体性に関する質問や,「論拠となる具体的なデータはあるのか」など客観性に関する質問,「どのような状況になればよいのか」など理想の状態に関する質問などがあり,質疑の中でより良い提案にするための方策が検討されていました。中間発表後は最終発表に向け,中間発表で指摘された曖昧な点,検討の甘い点を修正し,完成度を高めていた。最終発表直前まで提案内容を練り上げ,発表に用いる模造紙に着手するのが直前になったチームもあったが,無事に各チームが提案を完成することができました。
最終発表では,海士町の山内町長や知夫村の平木村長,インタビューでのゲストとなった現地の方々,行政関係者を含む各島の島民などの聴衆や,新聞,ケーブルテレビなどの地元マスメディアに対し,各チームが2日間で発見した島前地域の課題を示し,練り上げた解決策を提案しました。各チームの提案に対して,漁業・観光それぞれに携わる島民からコメントがあり,提案の斬新さを称える言葉や,高校生と連携して提案を実践したいとの意欲的な言葉を引き出すことができました。発表後には講評があり,平木村長,山内町長からは,こうした新しい提案を行える高校生と,地域の将来を議論できる場を設けたいとの言葉をいただきました。また,島前高の多々納校長は,まちづくり甲子園でできた「体験」を「経験」に昇華させることの重要性を指摘されていました。
今回のまちづくり甲子園では,最終発表の聴衆がそれぞれ各チームの提案を採点とコメントで評価し,最も優秀だと感じたチームに対して投票を行いました。その結果,本校の吉良さんが所属したチーム「SMILE」が最優秀賞となり,賞状が授与されました。「SMILE」が提案した「自分でつくる一人旅プラン」は,「島前地域の魅力は『人の温かさ』」であるのに,「各島の自然環境のPRが多く,『人』の紹介がなされない」結果として「旅行者が島民と関わる機会が少ない」状況を踏まえ,「往復の交通と宿泊場所を手配する他は,観光協会から何も情報を与えないことによって,旅行者と島民の交流を促進させる」ものでした。役場のPR戦略に疑問を投げかけ,あえて旅行者に情報を与えないことによりコミュニケーションを創出することの斬新さが評価されたと考えられます。
最終発表の終了後,ゲストと各チームで懇談する場がしばらく設けられ,まちづくり甲子園2日目の振り返りを行いました。1日目と同様の振り返りに加え,聴衆からのコメントシートの内容も踏まえて2日間の活動を通して学んだことを整理し,チーム内で共有する場となりました。この後,隠岐しぜんむらへ戻り,夕食のバーベキューを行いました。サザエや岩ガキなどの地物を,プロの漁師に食べ方を手ほどきいただきながら堪能し,参加生徒はそれぞれ,島前の夜を満喫していました。高速船に乗る参加者は翌日早朝に出港するため,この日は夜遅くまで各部屋で懇談する様子が見られました。
写真 上 中間発表の様子
中 最終発表の様子
下 全員集合写真