社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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9月21日(木)のエンタープライズI(EP1)(6,7時間目)において,「ポップカルチャーの分析ポスター発表会」を行いました。
この「ポップカルチャー分析」は,これまで取り組んできた「ビジネスプラングランプリ」(日本政策金融公庫主催)の取組が終わり,次の「海外フィールドワークに向けての取組加速化」「2年次でのエンタープライズ2におけるグループでの研究テーマ設定・論文作成への橋渡し」を念頭に置いたものとして,今年で2年目となるプログラムです。
題して,「解のない問題にグループで取り組み,どれだけ問題を面白く出来るかまとめてプレゼンしてみよう!」です。今回は日本のポップカルチャーを題材に,「その現象が何を表しているのか」「なぜ観る者にウケるのか」を考察して「おもしろい仮説」を作る,という課題を課しました。
ポイントは,
・型にはまったものでなくてよい。あくまで仮説を立てる。(むしろ,間違いから新たなものが生まれるというくらい大らかに構えよう)
・調べてまとめるだけでなく,「自分はこう思う」という視点を必ず入れること。
・主観的な感想や個人的な思いだけではだめ。幅広い知識を使うこと。
進め方は,
・4〜5人の班を作り,テーマを一つ選ぶ。
・班でディスカッションする。
・結論に至るまでの論証の流れ(仮説)を模造紙に図式化する。
発表会の冒頭は,まずは15期生教員代表デモ発表として,「君の名は」を題材にした国語科 村上先生の教員プレゼンから始まりました。
次は,生徒たちの発表です。今回の発表では,各人に一人で発表する機会が与えられています。発表の持ち時間は一人につき4分。2分の質疑応答時間には,聴衆からの多くのコメント・質問が飛び交います。さらに,コメントをポストイットに書いて,発表者のポスターに貼っていく作業もありました。これは生徒発案によるもので,メリットは2つあります。1つ目は,どこにどれだけ聴衆が集まったかの指標となると言う点。2つ目は,これまでに行われた議論を可視化し,次の聴衆がそれを踏まえた議論を展開できることです。
「おもしろい仮説」をいくつか紹介します。まず,「今の社会は”ありのまま”に生きられない?」と題された発表では,いわゆる「アナ雪」のヒットの理由を,現代社会の息苦しさに求めました。「周囲からの目」を気にするあまり,なかなか自分の「ありのまま」をさらけ出すことができない人々の実情を表したのものではないかという仮説を立てました。また「進撃の巨人」を分析した班は,「調査兵団」=反対勢力,「憲兵団」=権力者,「駐屯兵団」=傍観者,と言う構図を示した上で,「進撃の巨人」は「日本社会の縮図ではないか」といった仮説を立てました。他にも,ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」は日本人の過酷な労働環境を表している,「SNOWとプリクラの対比構造」など,高校生ならではの柔軟な発想で,こちらの想定を超える「おもしろい仮説」を作り出してくれました。
多くの生徒は,「与えられた問題」に対して作成者の意図する「解答」を導くことには慣れています。しかしながら,ポップカルチャーの分析を経て,多様な「解」があっていいこと,さらにはその解がこちらの意図とずれていてもいいこと,に気づくことができたと思います。また,今回は,ポップカルチャーを題材に,「その現象が何を表しているのか」「なぜ観る者にウケるのか」と言う問いをこちらから与えましたが,これから取り組む「海外FW」,果ては2年次の「課題研究」では,その「問い」自体をつくり出さなくてはいけません。このように,総合的な学習の時間EPを通して,大学での勉強,さらには社会人になってから必要とされる能力の礎になればと思います。
最後になりましたが,4月から始まったEP1の前半はこれで終了となります。特筆すべきは,EP1を「生徒運営」により行ったことです。「ビジネスアイデアグランプリ」「ポップカルチャーの分析」など,コンテンツこそは用意されていましたが,授業運営や発表形式,投票などの企画・執行は全て生徒スタッフが行いました。忙しい中,毎週水曜昼に定例会議を行い,議論が行き詰まるたびに臨時会議を開いたりと,大変な6ヶ月だったと思います。周到に計画していた全体発表の計画が5分で頓挫するなど,ハプニングもありましたが,とりわけ委員活動に携わってくれた生徒たちは大きな成長を遂げたことだと思います。
これからも生徒主体,生徒中心の学校を作り上げていきましょう!