社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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5月10日(木)の6,7時間目に,16期生によるエンタープライズ1(以下EP1)の発表会が行われました。EP1とは,本校で行っている総合的な学習の校内呼称です。今回のテーマは,「身の回りにある不便あるある」です。平成27年度にスーパーグローバルハイスクール(以下SGH)に指定され,その構想の中で本校としてめざすべき像を「グローバルリーダー」として設定しました。グローバルリーダーは,次の4つの能力,すなわち,
(1)物事を「問題化」する能力
(2)真の情報活用能力
(3)異文化=他者を受け入れ,これに応える能力
(4)これらを確かなものとする知識・教養
を併せ持つものとして定義しています。今回の活動では主に「問題化」する力と,それを広く「共有」する力の基礎力の育成を目的として行っています。今回は,身の回りにある不便を探し,つまり「問題の発見」,そしてそれが問題であることを友達に説明する,という取組です。
この活動は,4月に行われた学習合宿のグループワークから開始されているもので,合宿から帰ってからのEP1の授業で中間総括を行い,それを受けてさらに改良したアイデアを学年全体で共有しました。中間総括では,教育推進部松尾先生より,「問題の解決に向かうより,そもそもそれがなぜ現在の状況になっているのかを考えること。つまりその現象の構造や背景を分析する視点をもつことが重要」というお話がありました。生徒たちはこれを受け,合宿発表のポスターを新しい視点で改良しまし,発表を行いました。
いくつかの発表例を紹介します。A-8班「より多くの人が使いやすい改札機とは」では,改札機の切符挿入口が常に右側にあることを問題としました。誰にとっての問題なのかを多角的な視点から考察し,特に左利きの人にとっては入れずらい構造であることを指摘しました。そこから,日常生活では右利きが優遇され,スポーツでは左利きが有利とされるという分析を行いました。A-24班「面倒な財布―会計の背景―」では,大きいお金から小さいお金に両替する機械はあるものの,その逆がないが故に小銭がたまっていくことを問題化しました。解決策として提案したのは,逆両替機。つまり,たくさんの小銭を入れて紙幣に逆両替するといったものです。その他,ジャラジャラ小銭を電子マネー化するという提案も行いました。B-3班「大講義室のイス不便問題」では,本校7階にある大講義室(約300人収容可能)の椅子を問題化しました。大学の講義室のような作りになっており,長い机に椅子が取り付けられているがゆえ,中央に座るとなかなか外に出られないという設計上の構造を批判しました。この班は解決策の提案というよりは,このような設計をとってまでなぜ大勢を収容する必要があるのか,という新たな視点で問いを立てました。
最後に,教育推進部部長の藤岡先生の講評です。「発表会を通して,多くの人と話すことができ,問題を共有できたことは素晴らしい。少ない準備時間でよく頑張りました。面白い問題解決策もあったが,実は結論を出さないことも大切。安易にまとめにかかることなく,仮説的な主張を行う方が議論は活性化される。」この観点は次に行うコンテンツ「日本のポップカルチャー分析」に繋がります。
16期生には,与えられた時間で成果物を完成させる力があります。合宿においても今回も,限られた時間で全員が発表することができました。そして,何より元気です。EP1はまだまだ始まったばかり。2年次に行うEP2の課題研究に向けて邁進していきましょう!