社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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10月10日(土)13時30分から,堀川高校本能館にて,「京都市立高校グローバルリーダー育成研修」(以下,「GL育成研修」と略します)参加生徒30名(このうち,本校からは1年生6名が参加しました。)に対する第1回事後研修が行われました。
この研修は,グローバル化が進展する中,市立高校の代表生徒たちがともに切磋琢磨しながら,我が国の伝統文化等を深く理解するとともに,国際貢献の大切さを学び,他国の若者との交流,語学研修に積極的に参加することを通して,豊かなコミュニケーション能力,世界に対する幅広い教養を身につけるなど「グローバル人材」としての素地を育むことを目的として,一昨年度(平成25年度)から始まったものです。
今年度のGL育成研修第3期生たちは,国内での4回の事前研修と,7月25日(土)から8月9日(日)までの16日間にわたるイギリスにおける国外研修を終え,この日久しぶりに再集合しました。
今回の内容は,「帰国後オリエンテーション」(約2時間)と,「報告会に向けて」(約1時間30分)の2部構成です。
第1部「帰国後オリエンテーション」の講師は,佐田 創さん(株式会社アイエスエイ関西支社国際教育事業部副支社長)です。
まずは,研修の振り返りです。佐田さんは,「この研修・体験を通して,皆さんが成長したのは,どんな点ですか? どんなところが成長したのかしっかり考えないと,次の成長につながりません。振り返りが大切なのは,模擬試験やスポーツでも同じです。ただ解くだけ,練習するだけでは伸びません。<DO-LOOK-THINK-GROW>のループの中で,今日は特に“THINK”と“GROW”についてじっくりと考えてもらおうと思います。」と始められました。
エビングハウスの忘却曲線を示しながら,「人は忘れる生き物であり,意識していないとどんどん忘れてしまう」として,“THINK”(出発前にどんな目標を立て,どんなことを学んだか,また現地でのプログラム中に体験したこと・感じたことを振り返る)の部分を進めて行かれました。
事前研修で学んだポイントを振り返った後,「プログラム中に心が動かされたこと,体験したこと,気づいたこと,学んだこと」「プログラムで感じた壁,出来なかったこと,反省していること,失敗したこと」を各自が箇条書きで書き出し,それをまずペアでフィードバックした後,皆の前で1分以内の発表を行うように促されました。
生徒たちは,「英語が少々下手でも,伝えようとする気持ちが大切だと思った。自分から積極的にいけば,返ってくるものが多かった。」「フォロワーの姿勢がその場を担っており,アクティビティの充実にとって大切だと思った。」「グローバルリーダーに必要なのは”人とつながる力”だと気づいた。人の輪をもっと広げられるようにしたい。」「イタリア人のまわりを巻き込む力はすごいと思った。」「(話を広げられるように)共有できそうな話題をあらかじめ調べておくべきだと思った。」「言葉でなくても例えばスポーツでもコミュニケーションが図れると気づいたので,自分で限界を作らないことが大切だと思った。」等の意見を発表していました。発表後はペアの生徒同士でプレゼンテーションの際の注意点(声の大きさ・姿勢・目線)について講評をし合いました。
次に“GROW”の部分です。佐田さんは,「今回,皆さんは成長するための種を持って帰ってきました。その花を咲かせるには相当な努力が必要であるし,持ち帰った種も,花を咲かせるのに必要なことも,一人一人異なります。咲かせることが出来るかどうかは自分次第。勇気をもって一歩を踏み出して下さい。」と激励され,京都大学の山中伸弥先生の言葉を贈られました。
それは,整形外科医ながら手術が下手で「ジャマナカ」と呼ばれていた山中先生が,基礎医学研究を志して1993年にアメリカに渡り,本格的な研究者人生をスタートさせた時に研究所長のロバート・マーレー先生から言われた「VW」(Vision & Hard Work・・・目的をはっきり持ち,それに向かって懸命に働くということ。)という言葉です。これは研究者が成功する条件で,山中先生は,「私たち日本人は勤勉に働く傾向にありますが,明確なビジョンを持つことを忘れてしまいがちで,何の目的も持たずに多くの実験をするだけに終わってしまうことがあります。常に自分自身に”自分のビジョンは何か””長期目標は何か”ということを問いかけなければいけません。」と常々おっしゃっています。
また,2060年までの世界の経済状況の推移を予測した動画を映示した上で,この激動する世界の中で,GL育成研修に参加した皆さんは「この経験から得たことをグローバルリーダーとして今後どのように生かしていくのか」,決意表明のプレゼンテーションをしてほしい,と呼び掛けられました。
それぞれ「積極性を武器にたくさんのことを知り・学び・吸収して,日本を背負って世界に出ていきたい」「多文化への寛容や日本文化の素晴らしさを学ぶことができた。国連難民高等弁務官等の,フィールドワークが出来る仕事に就きたい」「英語以外のさまざまな言語も学んで,自分の可能性を広げていきたい」「環境問題の解決を目指して,世界の未来を担う覚悟を培っていきたい」「世界をインスパイアできる映画監督になりたい」等,さまざまな思いを積極的に発表していました。
締めくくりに,佐田さんから「他人と過去は変えられないが,自分と未来は変えられる」との言葉が贈られ,「思った瞬間から変えることができます。自分を奮い立たせて,いろいろなことにチャレンジして下さい!」との激励で第1部は終了しました。
第2部は,市教委の担当者から「報告会に向けたプレゼンテーションの構成」「今後の予定確認」「その他の連絡」があり,生徒たちはグループに分かれて熱心に意見交換や準備作業を行っていました。
参加者の皆さん,ビジョンを忘れず,周りの人々にも良い影響を与えながら自らの可能性や能力を十分に発揮していけるよう,日頃から心掛けて下さい。期待しています!