社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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2月9日(金)に,国立国際会館にて第10回「京都地球環境の殿堂」表彰式及び「京都環境文化芸術フォーラム」国際シンポジウムが開催されました。「京都地球環境の殿堂」とは,世界で地球環境の保全に著しい貢献をされた方々を顕彰するものです。本年度は,コスタリカの外交官/前国連気候変動枠組条例事務局長クリスティナ・フィゲレス氏,宗教学者である山折哲雄氏,そして東ティモール出身の歌手であり環境保全活動家であるエゴ・レモス氏が殿堂入りを果たし,表彰されました。「京都環境文化芸術フォーラム」では,先述の殿堂入り者をパネラーとして迎え,京都大学総長の山極氏がインタビューアーとなり,環境に関するフォーラムを行いました。
本校からは,2年生の山田耀真くんが参加し,フォーラムが行われるメインホールの前で自身がEP2で行なっている研究に関するポスター発表,そして殿堂入りされた方々との交流に参加しました。山田くんの研究は,思想家のミシェル・フーコーの権力論や(環境)哲学者のティモシー・モートンの議論をベースとし,21世紀における環境問題への議論の足場を作るものです。元来,自然環境の内部にいる人間ですが,これまで環境問題を議論する際には往往にして人間vs環境という構図が前提となっていました。そこで,両者の境界をあえて不明確に設定することで,人間中心的な環境問題の議論を乗り越え,人新世における環境概念の捉え直しを行うものです。
メインホールの前には,来場者が多く詰めかけ,山田くんの発表を興味深く聞いておられました。なんと会場に来られていた西脇京都府知事,そして門川京都市長にもプレゼンさせてもらうことができました!フォーラムの後では,ステージ裏にある,京都議定書がまさに採択された部屋にて登壇者との交流会が設けられ,山田くんは宗教学者の山折哲雄先生に直接質問をし,話を聞くことができました。以下,参加した山田くんのコメントです。
<発表の場としての感想>
環境問題に意識の高い来場者が多い中で,「環境」の捉え方を疑問視する(「環境」を再定義する)という自分の主張を伝えることができ,様々なコメントを頂けたのでよかったです。また,京都市長や府知事という方々に向けて発表させてもらうことにはいささか緊張しましたが,自分の論をさらに掘り下げるためにアドバイスをいただき大変嬉しく思っています。
また,洛北高校の皆さんのポスター発表を見て,論の展開を念頭に置いたポスターの作り方や発表の仕方において学ぶ点も多かったです。3月のEP2発表会ではこの経験を活かしたいと思いました。
<講演および講演後の登壇者との交流会についての感想>
各登壇者の講演はどれも興味深いものだったが,とりわけ山折先生の「持続可能な社会は本当に持続可能なのか」という発言はとても響きましたし,他にも自分の主張にも通ずる部分が多く,非常に有意義なものでした。また交流会では,山折先生と同席させていただきましたが,「宗教に囚われすぎている」という言葉の意味の深さに対して,「自然を感じるのであれば山に登りなさい」という発想の奥行きを感じることができました。
私は,環境問題に対する実際的なアプローチではなく,哲学的な視点,すなわち環境問題についての議論の足場を作るような立場で課題研究を進めていますが,そこで必要となる考え方や折り合いの付け方という点でも,今回の発表会への参加は非常に大切な経験となりました。
日頃からEP2で研究している山田くんですが,実は今回の発表の前は,議論が拡散し落とし所を設定することができていなかったようです。しかしながら,今回の発表に向けて準備を進めながら「環境」という視座を得ることができました。EP2の発表会は3月16日(土)です。今回得た知見を元に,うまく議論を収斂させ,良い発表ができるように頑張ってください。期待しています。
写真上 門川市長にプレゼン
写真中 西脇知事にプレゼン
写真下 集合写真
一段目左からクリスティナ・フィゲレス氏,山折哲雄氏,エゴ・レモス氏
二段目左から松尾先生,山田君,岩佐教頭