社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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金曜日の6・7限「エンタープライズII」(略称:EPII)の時間に,高校2年生は7つのゼミに分かれて課題研究を進めています。
10月30日(金)のEPII(この日は保護者担任個別懇談会に伴う時間割変更のため,3・4限目に設定されていました)では,各ゼミで提出する論文作成の作業をグループごとに行いました。
この中で,生物学・農学・化学等の視点からアジアの環境問題について考える「生命科学」ゼミでは,左京区岡崎の京都市動物園に出かけて現地調査を行いました。10時50分に貸切バスで学校を出発,約30分で現地に到着し,約2時間30分にわたって園内を見学させていただくとともに,京都市動物園生き物・学び・研究センター長の田中正之様から,「ラオスのゾウの繁殖プロジェクト」についてお話を伺いました。
ワシントン条約が結ばれてから動物の売買が困難になり,動物園では,動物をいかに繁殖させるかが大きな課題となってきているそうです。京都市動物園では,多くの研究者の協力のもと,ラオスから特別に寄贈されたゾウを園内で繁殖させようというプロジェクトが立ち上げられました。野生動物の生態はいまだに解明されていない部分が多いので,繁殖方法やタイミングの調査,えさの与え方の研究(元来の生育環境から乖離しすぎないよう,給餌の際に消化のよいものと良くないものを組み合わせて与えることが大切で,そのベストミックスを探る)やミネラル分の必要量調査などを繰り返しており,5~6年後をめどにゾウの繁殖を目指す予定だそうです。
生徒たちは,「動物の種の保存」(動物園では,「一般への展示」に加えて,さまざまな法的規制や地球環境の大きな変化の中で,「種の保存・繁殖・研究」が大きなテーマになっているそうです。)や「動物を飼育・展示するのにどのような環境がふさわしいか」(例えば,動物にとって適した環境を整備しすぎると一般の入園者からは観覧しにくくなってしまうこと等)についてしっかりと話を聞き,率直な質問を投げかけていました。「アジアの環境問題」を大テーマに,さまざまな角度からグループで取り組んでいます課題研究を進めるに当たって,多くの気づきや発見があったようです。
14時前に全体としては現地解散となり,各自遅い昼食をとったあとは,久しぶりに訪れる動物園を思い思いに見学していました。
今日の現地調査で得た視点を糧に,さらに調査研究を進めていって下さい。
生徒の感想です。
・動物を簡単に輸入することが出来なくなった現在,動物を繁殖させる
ためには動物をよく知ること,そして研究することが非常に重要であ
ることがよくわかりました。
・約10年ぶりに動物園に行ったのですが,とても変わっていてびっく
りしました。小さいころと違い,理科や地理など中高で習ったいろ
いろなことと結び付けて考えることでき,とても良い機会になりまし
た。動物の説明をしていただいて,今まで気になっていたことはもち
ろん,疑問すら持っていなかった細かいところまで詳しく知ることが
できました。
・「個々のライフヒストリーを理解する」という言葉が一番印象に残り
ました。動物の生態から始まって,周りの環境まで深く関連している
ことが分かり,なるほどと思う発見がたくさんありました。
・自分たちの研究テーマに関連する事柄も「動物の保護」と思わぬとこ
ろで関わっていることが分かり,良い話をたくさん聞くことができま
した。
お忙しい中,御案内・御講演下さいました田中様をはじめお世話に与りました関係の皆様に厚く御礼申し上げます。誠に有り難うございました。
[参考]
○京都市動物園について
明治36(1903)年に開園した,日本で2番目に古い動物園で
す。(1番目は,明治15[1882]年開園の上野動物園)
新「京都市動物園構想」(平成21年11月策定)に基づいて7年
にわたり開園しながら進めてきた施設整備が完了し,11月8日にグ
ランドオープンを迎えます。園内は6つのゾーン(「もうじゅうワー
ルド」「アフリカの草原」「ゾウの森」など)に分かれ,動物たちの
習性をいかした環境づくりがなされており,動物の見せ方にも工夫が
あって,色々な種類の動物を間近で感じられる仕掛けがいっぱいの,
魅力ある施設となっています。
○京都市動物園におけるゾウの繁殖プロジェクトについて
「京都市動物園開園110周年」(平成25年)と「日本・ラオス
外交関係樹立60周年」(平成27年)を契機に,両国友好のシンボ
ルとして行われている事業です。
1.ラオスからアジアゾウ4頭(オス1頭,メス3頭)を寄贈
2.そのゾウを京都市動物園で飼育し,2国が協力して繁殖に取り
組む。ゾウの飼育・健康管理・繁殖技術の向上を図るため,
ゾウたちの発達,行動や生理指標など,繁殖に関連する基礎
データを収集する等の共同研究を実施する。
といった点を内容としています。