社会に羽ばたくグローバルリーダーの育成
エンタープライジング科
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11月12日(木)7限目(LHR)の時間を利用して,15時20分から16時10分まで,7階大講義室にて,1年生全員を対象に,在京都フランス総領事シャルランリ・ブロソー様による特別授業を行いました。
この事業(EUがあなたの学校にやってくる)は,駐日欧州連合(EU)代表部が,在日EU加盟国大使館の協力を得て実施するもので,EUが重視しておられる市民交流に焦点を当てたプロジェクトです。
平成19(2007)年から毎年開催されており,EUの成り立ちや今日の世界で果たしている役割のほか,EU加盟国の多種多様な歴史や文化などを紹介することで,青少年の海外に関する知識を広める機会を提供して下さっています。第1回以来の訪問校は約800校,この授業を受けた生徒は延べ約34万人にのぼります。(本校には,平成20年5月8日に,フランス大使館から,公使のクリストフ・プノ氏が御来校下さり,当時の1年生[第6期生]に特別授業を行って下さっています。)
今年度は,11月9日から13日まで,EUとその加盟国の在日外交官41名(駐日大使11名を含む)が,全国54の高等学校で延べ約24,000人の高校生に対して,EUおよび出身国について授業を行って下さいました。
総領事様は,秘書の方を帯同され,少し早めに学校に御到着下さり,学校の概要説明や,施設の状況及び1年生の授業の様子の御視察の後,特別授業に臨まれました。
生徒たちは,事前にいただいていましたEUについての資料を手に,秘書の方の同時通訳により,総領事様からの特別授業を受けました。
欧州連合条約に基づく,経済通貨統合,共通外交・安全保障政策,警察・刑事司法協力等のより幅広い分野での協力を進めている政治・経済統合体であるEUは,加盟国が6か国から現在28か国に拡大し,総面積は約430万平方キロメートル(日本の約11倍), 総人口は約5億人(日本の約4倍)を数えます。「シェンゲン協定」(昭和60[1985]年にルクセンブルクのシェンゲンで署名された,共通国境管理の漸進的撤廃に関する協定。平成11[1999]年に発効したアムステルダム条約により「EU条約」に統合されました。・・・11月5日に生徒全員を対象に校内各クラスで行いました事前学習会でも取り上げられていました。)等により,EU加盟国間では,人・物・サービスおよび資本が,それぞれの国内と同様に,国境や障壁に妨げられることなく,自由に移動することができる単一市場が形成されています。
また,EUの通貨「ユーロ」(現在,EU加盟国のうち,19か国が導入)についても,紙幣はどの国でも同じデザインですが,硬貨は「共通デザイン」が施されている面と,発行国独自のデザインが施された面とがあること等を,画像を示しながら説明して下さいました。
その他,「世界の中のEU」として,
・すべての人々にとってよりよい世界にするために世界最大の開発援助
を提供し,専門家の派遣もしていること
・世界の安全を守るために平和構築にも取り組んでおり,部隊の派遣も
していること
・世界最大の人道援助を提供し,緊急事態に対応するため,EUの資源
を即時に動員する準備があること(東日本大震災の際の支援の様子に
ついてもお話しして下さいました。)
・環境,気候変動,エネルギーの面では,世界規模の持続可能な開発促
進のために主要な役割を果たしていること(今年はCOP21[国連気
候変動枠組条約第21回締約国会議]がフランスのパリで開催されま
すが,開催記念プロジェクトとして京都-パリの若者同士で計画され
ています「エコ玉手箱」の企画で本校からも生徒有志が取組を進めて
いることについても触れて下さいました。)
・EUと貿易・・・世界最大の経済圏(世界のGDPの20%以上を占め
る)であり,EUと世界の雇用に貢献していること
等もお話しして下さいました。そして,
・EUと日本・・・「民主主義」「人権」といった基本的価値観を共有
しており,戦略的パートナーシップ協定(SPA)や自由貿易協定(FT
A)等のもと,各方面において関係・協力が強化されていること
・研究,イノベーションにおける協力関係・・・「ホライズン202
0」(800億ユーロ規模の研究イノベーション計画)や「ユパン」
(EUPAN・・・研究とイノベーション分野における日本とEUとの
協力を象徴するために誕生したロボットの愛称)の紹介
・ヨーロッパ留学のすすめ・・・質の高い高等教育,「エラスムス+」
(EUでの勉学や研究を支援する奨学金),「欧州留学フェア(EHE
F)」(欧州の高等教育機関の代表者から直に話を聞くことができる
イベント)の紹介
・EUフィルムデーズ・・・EU加盟国大使館・文化機関が提供する,
各国の作品を一堂に上映する映画祭。(今年は東京[5月29日~6
月21日]と京都[7月1~12日]で開催)
等についても御紹介になり,予定の時間を大きく超えてお話し下さいました。
終了後の質疑応答では,「フランスの伝統行事で,日本でもっと知ってほしいものはありますか。」という質問に対して,「ガレット・デ・ロワ(galette des Rois)」を紹介して下さいました。フランス語でgalette(ガレット)はお菓子,rois(ロワ)は王様,「王様のお菓子」という意味だそうです。1月まで続くクリスマスの行事で,1月6日の年始に食べる直径50cmほどの円形のパイの中に一つだけ「フェーブ」が入っており(昔は乾燥したそら豆を入れたそうですが,今では陶器や金属製の飾りが使われています。),家族や友人,仲間たちが集ってお菓子を切り分け,フェーブ入りが当たった人は,王冠(紙の王冠がついているそうです)をかぶって祝福を受け,その日は主役として回りの人に命令ができるのだそうです。総領事館でも毎年行われており,「ぜひ来てください。」とおっしゃっていました。
また,新しい行事として,音楽の祭日「フェット・ド・ラ・ミュージック」(6月21日を中心に開催される,プロ・アマを問わず参加できる音楽イベント)や「ニュイ・ブランシュ(白夜祭)」(パリ市が10月の第1土曜日に行う一夜限りの現代アートの祭典。パリの姉妹都市・京都でも,日仏の現代アートを無料で楽しめる「ニュイ・ブランシュ KYOTO」が市内38会場で行われました。)についても御紹介下さいました。さらに,左京区北白川にある「フランス国立極東学院(EFEO)」(フランス教育省の研究センター)についてもお話し下さいました。
もう一つは「EUの会議で大変なことは何ですか」という問いに対して,「最大の壁は“言語”です。」とおっしゃっていました。(会議の際に各国の言語を訳すため,多くの通訳者が必要)
特別授業終了後は,代表生徒(14名)と約20分間にわたる懇談の場も設けて下さり,パリジャンでいらっしゃる総領事様に「パリのおすすめスポット」を伺ったり,フランスのエネルギー政策について質問したりと,貴重な時間を持つことができました。
生徒の感想です。
・EUについてたくさんのことを詳しく知ることができました。例え
ば,環境政策や平和に向けた取組,経済援助のこと等,知らなかった
こともたくさんあって,大変勉強になりました。
・日本にもEUとつながれる所が意外と多くあるのだなと驚きました。
・留学プログラムに興味があるので,大学に入ってから参加したいと思
いました。
・初めての同時通訳による講演で,フランス語の心地よい響きにテンシ
ョンが上がり,集中して聴けました。
・フランスの行事や文化のことも聞くことができて,良かったです。
京都でも行事が行われていることを初めて聞き,知らなかったので,
もっといろいろな方面に視野を広げられたらいいなと思いました。
EU加盟国の中でも,京都市はパリ市と昭和33(1958)年に「友情盟約」を結んで親交を深める等,フランスとは長い交流の歴史の積み重ねがあります。また,今月末に行われます「エコ玉手箱」の企画(COP21開催を記念したパリと京都とを結ぶ若者参加型の取組)に本校の有志生徒が参加することでもあり,まさに時宜に適った大変意義深い特別授業となりました。
お忙しい中御来校・御講演下さいました在京都フランス総領事シャルランリ・ブロソー様,通訳及び事前調整等の労を担われました秘書室北川様をはじめ,駐日EU代表部広報部の皆様など,お世話に与りました関係の皆様方すべてに厚く御礼申し上げます。誠に有り難うございました。
[11月15日追記]
パリ中心部と近郊で11月13日夜(日本時間14日早朝),テロ事件が発生しました。犠牲になられました方々に心からの哀悼の意を表しますとともに,負傷されました方々,御家族にお見舞いを申し上げます。
[写真]
1枚目 特別授業の様子
2枚目 懇談会の様子