その「わくわく」がありたい未来をソウゾウする
美術工芸科
〒600-8202 京都市下京区川端町15番地[MAPを見る]
TEL. 075-585-4666 FAX. 075-341-7006
本日をもって、私は校長を退任し、美工を去ります。
私はこの学校一筋26年間、美術を学ぶ多くの生徒たちと出会い、生徒の皆さんと同じように、ここでたくさんのことを学びました。
そして最後の4年間を校長として全うできたのは、この学校を築いてこられた諸先輩方をはじめ、卒業生、保護者の皆さま、そして関係する多くの教育関係者の支えがあったからこそだと、強く感じています。
特に、ともに現場で日々力を尽くしてくださった教職員の皆さん、本当にありがとうございました。心から感謝申し上げます。
校長として皆さんに最後のメッセージを贈ります。
《在校生の皆さんへ》
ここ美工は、創立当初から「ものづくり」を基軸に教育活動を行ってきた美術専門の学校です。その魅力は、ただ知識を詰め込むのではなく、実際に手を動かし、体を使って、試行錯誤しながら学べることにあります。
「考える」だけでなく「作る」、そして「試す」。
失敗しても、もう一度やり直す。そうやって、いつの時代も変わらず一つひとつの作品に向き合ってきた在校生は、この学校を通して「創造することの喜び」だけでなく、「感じ」「考え」「表現する」ことで「生きる力」を身につけてきました。
創作する中で、自分の思い描いたものが形にならず、悔しい思いをしたことや、何度やってもうまくいかず、途方に暮れたことが一度や二度ではなかったはずです。けれども、それでもまた筆を取り、ノミを握り、土をこね、何度もやり直した経験が、ここ美工を卒業していった、9000人を超える卒業生や、在校生の皆さんを大きく成長させました。
そうした中で得られる『サリエントな経験』こそが、皆さんを本当の意味で成長させるのです。成功の喜びはもちろん、思いがけない失敗や予想を超えた結果、異なる視点に気づかされる瞬間——これらはすべて、普段の生活とは異なる新鮮な学びとなり、皆さんの価値観や考え方を揺さぶるものです。
そして、ときに挑戦や試練を伴うからこそ、その経験はより深く刻まれ、自分自身を変えていく力となります。思った作品が出来ず、試行錯誤を繰り返す中で、その大切さも学んできたはずです。そして「もう一度、やってみよう!」とチャレンジする。その気持ちがある限り、人は何度でも立ち上がることができます。
私は、皆さんがこの学校で培う「何かを感じ、考え続け、作り続ける力」こそが、人生の中で何よりも大切なものだと信じています。アートには「これで終わり」ということがありません。作品を作ること、それはまさに「生きること」そのものです。
だからこそ、これから先、皆さんが学校生活の中で、時にはつまずき、転び、傷つくことがあるかもしれません。思い通りにならないこと、悔しいこと、どうしようもないことにぶつかることもあるでしょう。
けれど、皆さんは知っているはずです。失敗は終わりではなく、新しい可能性の始まりだということを。だからこそ、どんな時も、前を向いて歩んでください。どんなに苦しくても、どんなに悔しくても、前を向いて、手を動かし、考え、また立ち上がる。たとえ一歩が小さくても、その一歩が必ず未来につながります。
皆さんがこの美工で、そしてこれからの人生で作り上げるものは、作品だけではありません。自分自身の生き方も、皆さんの手で創造していくものです。
私は、皆さんがこの学校で学んでいることを胸に、自分らしい人生を力強く歩んでいくことを願っています。そして、ここで培った創造の力を活かし、後輩たちとともにより良い美工を創り続けてほしい。
美工は、皆さん一人ひとりの手によって、これからも進化し続ける学校です。そして、いつかどこかで、また皆さんの成長した姿に出会えることを楽しみにしています。
最後に、これまで皆さんとともに過ごせた時間は、かけがえのない私の宝物です。私自身も、皆さんから学び、成長させていただきました。心から感謝します。
ありがとう。そして、これからも好き嫌いをせず学び、創り続けてください。作品を、表現を、そして自分自身の生き方を。そして、美工もまた、皆さんの手によって創り続けられていくことでしょう。
《保護者の皆さまへ》
皆さまの温かいご支援とご理解があったからこそ、お子さんは安心して学び、成長することができました。作品の完成を見守る喜び、時にはうまくいかず悩む姿を支える大変さ。
そのすべてが、お子さんの力となり、彼らの未来を切り拓く原動力になっています。
お子さんがこの学校で培った創造の力が、これからの人生で輝くことを、心から願っております。これからも、お子さんの挑戦を温かく見守り、支えていただければ幸いです。
また、引き続き、美工を温かく支えていただければ幸いです。
《地域の皆さまへ》
私は、教員としての26年間をすべてこの美工で過ごしました。その間、地域の皆さまの温かいまなざしに支えられ、本校は教育活動を続けることができました。
移転前の銅駝学区の皆さま、そして昨年度からお世話になっている崇仁学区の皆さま。
日々のご理解とご協力、そして生徒たちの成長を見守り、時には励ましてくださったことに、心より感謝申し上げます。
美術を学ぶ環境は、教室の中だけで完結するものではなく、地域の皆さまとのつながりの中でこそ豊かに育まれるものです。これからも、本校の生徒たちが創造の力をもって社会に貢献できるよう、どうか温かく見守っていただければ幸いです。
《本校の教育を支え、共に歩んでくださったすべての方へ》
美術教育は、一人の力で成り立つものではなく、多くの方々の支えによって成長し、発展していくものです。教職員の方々、講師の先生方、卒業生の皆さん、学校運営に関わるすべての方々、そして美術を愛し、応援してくださるすべての方に、この場を借りて心からの感謝をお伝えいたします。
本当にありがとうございました。
最後に。
この学校が創造の場として、これからも多くの生徒たちの挑戦を支え、未来を切り拓いていく青年を育成する学校となることを強く願っています。
令和7年3月31日
校長 名和野新吾