世界をつなぐ越境者
~Beyond the hill today, Beyond yourself tomorrow~
普通科(進学型単位制)
〒605-0000 京都市東山区今熊野悲田院山町5-22[MAPを見る]
TEL. 075-561-4142 FAX. 075-551-9046
厳しい寒さもようやく緩み、春の足音も聞こえてくるこのよき日に、京都市立日吉ケ丘高等学校第七十二回「卒業証書授与式」を挙行するにあたり、多数の保護者の皆様方のご臨席を賜りまして、心からお礼申し上げます。
ただいま、三年次生二百二十九名に卒業証書を授与いたしました。
卒業生の皆さん、御卒業おめでとうございます。三年間の高校生活を終え、本校を巣立ってゆく皆さんに心からお祝いを申し上げます。
皆さんは、本校が進学型単位制普通科高校となり、その五期生として入学されました。私は、今年度赴任し、皆さんの高校生活最後の一年を一緒に過ごしてきました。
コロナ禍によって、皆さんは、大切な思い出となるはずの行事や活動ができずに残念な思いをしたり、進学や就職など自分の進路について不安を感じたりしながらも、今、自分たちにできることを考え、高校生活を少しでも豊かなものにしようと努力してきました。また、緊急事態宣言が発令される厳しい状況においても、自分の将来を切り拓くために、大学などの受験に果敢に挑戦してきました。
私は、そんな皆さんを見守ってきて、本当に素晴らしい生徒と出会ったと思っています。
高校生活は、多くの仲間と過ごす中で、喜び合ったり、ときにはぶつかり合ったりするものです。自分の思いをしっかり持つことと多様な価値観の存在を認めることの両方が必要な環境であり、その中で、楽しかったときも辛かったときも、その一つ一つが皆さんという人を作っていた瞬間なのだろうと思います。同じときを同じ学び舎で過ごした仲間は一生の宝になります。ぜひ、この縁を大切にしてください。
皆さんは、これから新しい世界へ羽ばたいていくことになります。今後もしばらくは、大学などでの学びが思うようにできないことがあるかもしれません。また、社会においても、景気の低迷や雇用環境の悪化が懸念されています。
しかし、それでも我が国は、未来に向けて発展を続けようとしています。インターネットとあらゆるものが繋がることで新たな価値を生み出したり、人工知能や高度な技術によって様々な課題や困難を克服したりすることによって、経済発展と社会的課題の解決を両立することができる、人間中心の 社会を実現しようとしています。
そのために、今の閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を越えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会を実現することができる人財が求められています。自分の壁やまわりのさまざまな境を越えて挑戦し、いろいろな人々とつながり、自分の世界を広げ、新しい価値を求める「世界をつなぐ越境者」が必要です。まさに皆さんの力が必要なのです。
よい未来があることを信じ、諦めずに努力することによって、社会の中で自己実現し、自分自身が幸せになってください。そして、その営みを通して社会の発展に貢献してほしいと願います。そんな皆さんを、世の中の大人はきっと応援してくれるはずです。
最後に、高いところからではございますが、保護者の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日はお子様の御卒業、誠におめでとうございます。高校生活を通して、お子様は立派に成長されました。これから一人の青年として、自分の意志で社会を歩んでいくお子様を、引き続き温かく見守っていただきたく存じます。また、この三年間、物心ともに御支援と御協力を賜りましたことに、厚く御礼申し上げます。
卒業生の皆さん、明日からは、この日吉ケ丘高校が母校となります。いつの日か「世界をつなぐ越境者」として成長した姿を見せてくれることを期待いたしまして、式辞といたします。
令和三年三月一日
京都市立日吉ケ丘高等学校長
本谷 一