すべては君の「知りたい」からはじまる
普通科・探究学科群(人間探究科・自然探究科)
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先日,学校説明会に向けた生徒による最初の会が実施されました。自ら手を挙げてスタッフとして参加してくれた1年生と2年生の約60名が集まり,本番に向けたスタートを切りました。今回の学校説明会は,コロナ感染防止対策として,規模を縮小し形態を変えて実施するため,生徒スタッフも例年より少なめです。
どのようなスタートになるのかと期待と不安を抱きながら,会場である講堂へと向かいました。開始時間前の2年生だけでの最終確認中。2年生は1年生に教え伝え,率いていくリーダーです。資料を配布したり,伝える内容を再整理したり,担当教員と話したりと,慌ただしく動き回っています。
開始時間になると,会場内は数分前の騒然さが一瞬にして引いていきました。誰かが「静かに」などと言ったりすることはまったくなく。スーッと自然に場が落ち着き,緊張感が漂う空間。状況をわきまえた大人の姿勢,自分たちの手で何かを始めようとする雰囲気,静寂の中で感じられる意気込みに,何ともいえない高揚感を覚えました。
最初に私が話す時間をいただきました。参集してくれたことへの感謝,この会場で私が見た光景に対するありのままの感情,そして,つながってほしい,大事にしてほしい,楽しんでほしい,これら3つを,より高次なものとするために想像力を活かそう,といった話しをしました。生徒たちは,自然体の表情で聞いてくれました。
続いて1年生と2年生の学年主任からの激励の言葉。それが終わると,生徒たちは各パートに分かれて,生徒たちだけでの打ち合わせ。2年生たちは1年生の前に立って,前日までに準備した原稿を手元に抱えながらも,それを読むのではなく自分の言葉で話し始めました。ほどよく緊張しながらも,堂々としたものです。
会が終わって解散となり,1年生が会場を後にしたにもかかわらず,2年生は帰らず話し合っています。
「使った資料はわかりやすかったかなあ。」
「次はマニュアルに載せてないことも1年生に聞いてみんとね」
「実際のシミュレーションの時は〇〇に気を付けんとな。そのためには…。」
「じゃあ,次までに〇〇を準備しとかなあかんね。私は〇〇してくるわ。〇〇君の役割は…。」
生徒による反省会です。何かを計画し実行した後には必ず振り返りが必要である,ということを堀川に入学してからのいつかどこかで体得してくれたのだと思います。
言いたい伝えたいやりたい知りたい関わりたい,といったエネルギーを持て余す青年たち。私たち教師は,生徒の能力や適性,意欲を観察や対話によって見取り,彼らが今持っている100%の力を発揮させ,器をさらに大きくし,殻を破ろうとする姿を後ろからしっかりと支え見守ることが大きな使命の1つです。生徒にかかる負荷の質と量には十分配慮し,必要に応じて教師が調整をしなければならない。しかし,「遠慮」という名の教師による勝手な先回りや引き算,また,安易な「満足」によって,絶好のチャンスを制限したりや燃えたぎるパワーを抑制したりするのは,実にもったいない。この加減はとても難しいが,教師による練られた仕掛けと入念な準備やフォローによって,生徒の成功や失敗をしっかりと自身の足跡として内在化させたい。
同じ種類の低いハードルばかりでは,生徒は軽く飛び越え物足りなさを感じるでしょう。ハードルが少し高ければ,生徒は必至に助走し,飛び方を工夫し,思い切って飛び越えようと汗をかく。私たち教師は,いつどこでどのようなハードルを生徒に提供すべきなのか,もう少し言えば,生徒自身が自らハードルを設定し飛び越え続けようとするためにはどのような後押しが必要か,ということを考え続けていきたいと思います。
橋詰 忍