すべては君の「知りたい」からはじまる
普通科・探究学科群(人間探究科・自然探究科)
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9月5日6日の2日間にわたる文化祭が終わりました。
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から,その実施の有無,日程,内容,形態などを臨時休業期間中から検討してきました。今年度,状況の悪化によっては,当日にさえ余儀なく中止を判断しなければならない可能性もある中,何とか無事に実施することができました。何より,自分たちの手で文化祭を実現させたいという強い想いを持った生徒会執行部の生徒たちをはじめ,主役,脇役,舞台裏に関わらず,クラス内やさまざまな場面で自分の役割を一生懸命果たそうとした生徒たち,既定の枠に留まらずに新しい取組に挑戦してくれたクラスの生徒たちに感謝です。保護者のみなさまには,生徒たちの活躍の様子を直接ご覧いただくことができませんでしたが,その様子を可能な限り映像配信させていただきました。一部,学校の不手際によりリアルタイムでご覧いただくことができない状況となりましたことをお詫び申し上げます。
先日,1年生が書いたある作文を読みました。その生徒は中学1年生のとき,習い事に行くバスの中から堀川高校を見ていたとのことです。当時は「なんとなく近くにある高校」といったイメージを抱いていた学校。そんな中,その生徒は友達とともに堀川高校の文化祭にやってきました。そして,なんだかおもしろそうだと思って観たのが1年生の演劇。堀川高校生が演じる舞台にぐんぐんとひき込まれていきました。作文にはそのタイトルとストーリーが正確に書かれ,印象的なシーンが鮮明に描かれていました。それを契機に,その生徒の堀川高校に対する「なんとなく」の印象が,絶対に獲得したい自分の居場所,たどり着きたい憧れに変わり,挫折をしながらも自分を鼓舞し続け,入学してきてくれました。その生徒は最後にこう締めくくっていました。
「壁にぶつかっても,今まで歩んできた道を振り返れば,きっと乗り越えていける。」
その生徒は今回の文化祭で中心的な役割を果たしていました。中学1年生の時に実際に観て夢に描いた舞台に立ったその生徒は,どのような思いで準備期間を過ごし,当日を迎えたのか,そして今,何をめざしているのか。また聞いてみたいと思います。
毎年,堀川高校では進路のしおり「若き狩人」を発行しています。その中のコンテンツの1つに合格者体験記があり,今年度は70名の卒業生たちに寄稿していただきました。あらためて卒業生のみなさんに御礼申し上げます。ありがとうございます。その中には「後輩のみなさんへ」という項目があります。卒業生たちは,学ぶということの楽しさや受験勉強の大変さ,「探究基礎」での経験などを,自分の高校時代を振り返りながら書いてくれます。その中で,学校行事,特に文化祭に関することを書いてくれる人も多くいます。ある卒業生の一言が私の心に残っています。
「最高の景色でした。」
3年生の時のアトリウムパフォーマンスの最中に見えたのはどんな景色だったのか。1階アトリウムの舞台から見上げた時に立体的,多方向に見えた光景だったのか,それとも,自分のとなりで演じ,観客を魅了しようと躍動する仲間の姿だったのか,当日までにクラスでの議論や意見のぶつかり合いを乗り越えてやり遂げてきた時間を振り返ったときの回想なのか,文化祭を象徴として,高校3年間でつながり合えた仲間への感謝や絆を景色と表現したのか。とにかく,その卒業生にとって,文化祭が自分の生き方や考え方,人との関わり方に大きな影響を及ぼしたことに間違いはないだろうと思っています。その景色に支えられ,彼は自分の進路をつかみ取りました。
文化祭が終わり,生徒たちは次にどんな舞台を創造し,どんな景色を描くのか。新しい物語を始める生徒たちを見守っていきたいと思います。
橋詰 忍