すべては君の「知りたい」からはじまる
普通科・探究学科群(人間探究科・自然探究科)
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10月7日の前期最終日。残暑の厳しい1日,嵯峨野グラウンドにて体育祭を実施しました。
競技の中盤,陽ざしがますます強くなり,砂ぼこりが舞い上がる中,学年別クラス対抗の団体競技,大玉転がしが行われていました。
各クラスの生徒20名ほどが二手に分かれ,30メートルほど離れたこちら側とあちら側の配置についたところからスタート。ポヨポヨと柔らかいけど跳ねはしない,持ち上げるには重たい大玉。直径が身長ほどある文字通りの大玉を,生徒が2人1組で力を合わせてこちらからあちらへ運び,待ち構える次の2人にバトンタッチ。今度はその2人があちらからこちらへ。その往復を繰り返し,最後の2人が対岸にたどり着き,20名全員がしゃがみこんだ時点で終了。一番速かったクラスが1位。グラウンド全体が生徒たちの黄色い声で湧き上がる。大変盛り上がり,見ていてもおもしろい。
1年生,2年生と続き,いよいよ3年生。スタンバイOK。体育祭の企画から運営までを取り仕切ってくれる生徒会執行部の生徒たちがその様子を連携しながら確認し,GOサインを出す。スターターピストルが鳴り響く。6クラスそれぞれの2名が一斉に大玉を押して走って,また押して走って。思いもしない方向に転がる大玉との悪戦苦闘を生徒たちは楽しんでいる。
この競技にはもう1つ難関がある。対岸に向かう途中には1本のカラーコーンが立てられていて,生徒は大玉とともにそのコーンをぐるっと1周しないといけない。これがまた,生徒たちを悩ませる。
「おいで,おいで!」,「あと少し!」といった声援があちこちに飛び交う中,あるクラスの生徒が先頭に立って大玉が運ばれてくるのをソワソワしながら待っている。出番はいよいよ。目の前では2人のクラスメイトが真ん中にさしかかった。コーンを回り終えようとしたとき,大玉がコーンに当たって倒れてしまった。2人はそれに気づかず,ひたすら大玉を押している。砂ぼこりがその姿を追いかけるかのように舞っている。
先頭に立って出番を待っていたその生徒は,一瞬の戸惑いと躊躇の後,そのコーンめがけて一直線に走っていった。そしてもとの場所に立て戻し,すぐに自分の場所に戻ってきた。再びワクワクしながら自分の出番を待っているようだった。その一連の光景は,私に柔らかくて優しい感触を与えてくれた。
堀川高校では例年,クラスの親睦や団結を深めるために,各クラスがオリジナルTシャツを作成している。生徒たちが色やデザインについて話し合い,6月球技大会や9月文化祭,そしてこの体育祭で着用することが恒例となっている。
その生徒のクラスTシャツは青色。背中には背番号とともに,1人1人それぞれのお気に入りのことばがプリントされている。これまたオリジナル感があり,個性が輝く。
STAY WITH ME
その生徒の背中に見えたことば。本人がどのような思いを込めたのか,何を意図したのか,私には定かではない。
私とともに
時間と機会を重ねる中で人がつながり,連帯感や信頼感が生まれ深まっていく。楽しみや喜び,悲しみなどの感情を受け止めてくれる仲間であったり,真剣に意見を交わし主張しあうことができる仲間であったりが自分の周りにいてくれる。安心感に包まれながら自分らしさを表現したいし,他の人の居心地も大切に守ってあげたい。そんなWITH MEやWITH US,また,WITH YOUの思いが,体育祭といった学校行事をはじめ,学校でのあらゆる場面で,生徒たちの心の中に育まれているような気がした1日だった。
「ひとつになる 高みをめざす ひとりになる」 ひとつになって何かをめざす体験を繰り返すからこそ,集団の高い目標や個人の役割がみえるようになり,そして自分がひとりですべきこと,成すために仲間に頼ることの大切さを知る。生徒たちにはそういったことを実感する高校生活を思う存分に楽しんでほしい。
3年生にとっては最後の体育祭。他にもさまざまな頼もしい表情を見せ,行事を盛り上げてくれました。
そして後期が始まりました。
橋詰 忍