すべては君の「知りたい」からはじまる
普通科・探究学科群(人間探究科・自然探究科)
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7月16日、本校にて中学3年生対象の学校説明会を実施しました。
新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中でしたが、今年度はぜひ、お申し込みいただいたすべての中学3年生の方々に、直接に学校を見て、生徒と交わり、堀川を知って、ワクワクした感覚を抱いてほしいと願っておりました。ご参加いただきました方々、暑い中お越しいただきありがとうございました。
3部制としたためにご希望の時間帯にご参加いただけなかった方々や、多数のご参加をいただいたために会場内で窮屈にお感じになられた方々におかれましては、大変申し訳ございませんでした。
生徒たちの学校説明会は、6月10日に開かれた2年生による第1回リーダー会議から始まった。集まった20名ほどの生徒たちがそれぞれ、各パートのリーダーを担う。そして、代表1名と副代表2名が全体を統括する。1人1人が、来場者の方々に堀川の魅力を知ってもらいたいという願いとともに、自分なりの説明会にかける想いをはつらつと語っていた。
自分たちがまだ知らない堀川の魅力に気づく機会にしよう。
堀川の探究を見てほしい。探究で魅了したい。
自分が中学生の時に感じた胸の高まりを、今の中学生にも感じてほしい。
今日というこのスタート、そしてこれからの過程を大事にしたい。
説明会を築いてきた先輩たちは私のあこがれ。もっと良いものを創ろう。
全力で取り組むことによる楽しさをみんなで味わおう。
2年生に1年生約130名のスタッフが加わり、合計150名ほどの生徒たちが、6月29日のスタッフ会議に集った。学年を超えた集団が、ともに1つの作品を創りあげていく。「私は堀川が大好きです。そのことを中学生に伝えたい。ここに集った仲間とともに楽しみたい。」2年生代表が会議を締めくくった。
その後、何度かのリーダー会議、1年生を含めたスタッフ会議。それぞれの会議の前には、個別ミーティングを実施する。各パートの準備も進んでいく。その様子を教員が見守る。
前日の7月15日午後、授業はなく学校全体が説明会モード。スタッフ会議でのスケジュール確認に始まり、全館清掃、案内掲示、会場設営、舞台用機材確認などが同時並行で行われる。実際に取りかかると、大なり小なりの想定外のことが生じたり、新たなアイデアが浮かんだりする。その修正や変更のために、リーダーたちが教員を交えて相談している。
夕刻の最終リハーサル。それほど時間は残されていない。私はその時に初めて全体を見た。各パートに対して、これまでの準備に感謝するとともに、明日に向けたアドバイスを送った。
学校生活紹介を担った6名が、リハーサルを終えた後に私のところに来てくれた。生徒たちは約15分の舞台上で、紹介内容に応じた写真やスライドをたくさん用意し、スクリーンに投影しながら進めていた。中学生たちの堀川をより知ってほしいという、おもてなしの心がうれしかった。
6名の中にいる2年生リーダーが聞いてきた。
「私たちの学校生活紹介はどうでしたか。」
私は少し感想を述べたあと、投げかけてみた。
「思い切って、写真やスライドを映さないでやってみてはどうだろう。」
困惑した表情を浮かべる生徒もいれば、なぜと問いたそうなまなざしを向ける生徒もいた。時間をかけて準備をしてきた生徒たちにとっては、大胆な一言だったことだろう。
「みなさんには、伝えたいことを伝えることができる「ことば」があるじゃないか。」
その瞬間、生徒たちの表情が少し緩んだように感じたのは、自分勝手な見方かもしれない。
生徒たちは学校案内パンフレットの代弁者ではない。粗削りであっても、途中で詰まっても、互いの発言が重なっても、考えていた筋から少し逸れたとしても、まったく問題ない。6人はすでにお互いを補い合うチームワークを形作っている。
本番の日、生徒たちは自分たちで決めた形、視覚資料による補助に頼らない形で1回目の本番に臨んだ。何か吹っ切れたような様子に見えた。直後に6名に話しかけた。
「ことば」が生きているように感じたよ。
控室に戻ったあと、生徒たちはすぐさまその様子をビデオで見返し、改善に向けた議論と次への確認を行っていた。2回目終了後も同様。最後の3回目。ことばの運びや表情、舞台上に醸し出される雰囲気が、1回目とは明らかに違っていた。
終了後、1人の生徒が笑顔で伝えてくれた。「あれが私たちの本当の姿なんだと思います。」もちろん、1回目も満足のいくものだった。でもそこから貪欲に粘り強く、まだまだできるという可能性に気づき、挑んだあとの達成感のようなものが、その一言には込められていたように感じた。
私たち大人はあくまでも生徒のサポーター。大きな困難に対しては必要な支援を惜しまないものの、生徒が挑戦し躍動する場面を先回りして奪ってはいけない。
私たち大人を超えていく生徒たち。そのために私たちは、生徒たちに超えようとする機会を提供し、必要な助言を与え、超えたいという気概を感じるよう促していくことが大事だと思っている。一方、簡単には超えさせないよう、壁となって立ちはだかることも私たちの役割であろう。
いよいよ夏本番を迎えます。堀川高校では引き続き1、2年生の全員学習、3年生の夏季補習がおこなわれます。9月に控える文化祭に向けても、生徒たちはたくさんの「ことば」を交わしながら、自分たちの今を超えようと、先輩たちを超えようと、準備に熱を込めて進めていきます。
橋詰 忍