すべては君の「知りたい」からはじまる
普通科・探究学科群(人間探究科・自然探究科)
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やわらかな陽の光がそそぐ中、3月1日に第75回卒業式を挙行しました。
22期生の卒業生たちは、18歳らしい大人の落ち着きを見せ、緊張感を漂わせながらもやわらかな表情を浮かべていました。3年間での成長がはっきりと感じられた卒業式でした。
3年前、世界中の人々が新型コロナウイルスという未知の脅威に震撼し、未曾有の危機にさらされた状況の中、22期生は入学式を迎えました。その時には感染予防、拡大防止の観点から、保護者の方のご参列をお控えいただきました。
そして、その直後からの約2か月間の休校。高みをめざそうと新しい高校生活を心待ちにしていた新入生にとって、自分の行き場を見失い、不安や苛立ちが募る期間だったことと思います。
学校生活がスタートした後も感染拡大の波は静まることなく何度も押し寄せ、生徒の心身の健康や学校での多様な教育活動に、大きな影響を及ぼしてきました。
卒業の日を迎えるまで、さまざまな制約を受けながらの高校生活を送り、のびやかに学び、遊ぶことがままならない中、困難に対してしたたかに向き合おうとしてきた、そして、しなやかに乗り越えようとしてきた22期生の姿勢と行動に対して、心から敬意を表したいと思います。
保護者のみなさまにおかれましてはこの3年間、十分でなかった点やご心配をおかけしたこともさまざまございましたが、本校教育に対して深いご理解と多大のご支援を頂戴いたしましたことに、厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
以下に、卒業式式辞の一部を紹介いたします。
22期生は「森」と呼ばれてきた学年でした。3本の木をもって森をなす。多様な個性を持つ1人1人が連なり、空高く力強く成長し、あらゆるものを閑かに見つめ、あたたかくつつみこむ存在であってほしい。また、自分の知らなさ、足りなさ、小ささを知り、謙虚に学ぶ青年たちであってほしい。そんな思いを込めて、名付けました。
1月の激励会では、「森は生きている」という物語をみなさんに紹介しました。大きな自然の中には神秘的なパワーがみなぎっている。心を整え、耳をすませば、いろいろな音が聞こえてくる。人を頼ることの大切さ、体験することによって得られる喜び、そんなことも教えてくれる物語です。
この3年間の高校生活において、みなさん1人1人が最高に輝く瞬間、また、22期生全体が燃えたぎる時間もあったことでしょう。その一方で、さまざまな苦悩や悲しみ、やり場のない苛立ちを感じることもあったはずです。ただ、みなさんは高校生という青年期での経験を通して、相当な力を蓄えてきました。これから立ち向かっていく未来において、基本となる道徳観と、慈愛に満ちた心を持ち、見えるものをまっすぐに見て、聞こえるものをじっくりと聴くこと。そしてまた、想像力を豊かにし、見えないものを思い、聞こえない声を受けとめること。そのために、みなさんのもつ尊い力を自分のためだけではなく、他の人のためにも、正しく、余すことなく使ってほしいと思います。
物語の中で、1人の少女が真冬の森をさまよい、凍えそうになりながら探し求めたのは「マツユキ草」でした。その花言葉は「希望」。新たな発見に心を躍らせ、困難にも勤勉に取り組み、楽しむことを忘れず前を見て、希望を持って、自分が願うものを、自分らしく追い求めていこうとし続けるみなさんを、母校である堀川はずっと見まもっていきたいと思っています。
みなさんの未来に向けて、豊かな人生に向けて、じっと見つめて、耳をすまして、頭を働かせて、心しずかに整え、そして、時を待ち、躍動する。そんなみなさんであってほしいと願っています。
みなさん、お元気で。
橋詰 忍