「人とつながる音楽家」を目指して
音楽科
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堀音生の皆さん,おはようございます。
昨日,生活のリズムのお話をしましたが,今朝はちゃんと起床できましたか?
京都では休業が続いていますが,全国的に見れば昨日から学校を再開した地域が出てきています。これから5月末までの間に,学校再開に向けた準備として,規則正しい生活ができていない人は,早い目に戻すように心がけてください。5月後半の様々な取り組みについては,順次こちらで説明をしながら進めますので,このページを注視しておいてください。
今日は「中世ヨーロッパのミサと宗教劇」のお話しです
グレゴリオ聖歌がローマ・カトリック教会の正式な「典礼音楽」となったことは,前回お話ししました。カトリックの「典礼」とは,当時カトリック教会で使用されていたラテン語で記されたミサや聖務日課などのことを言います。ミサとは,キリストの最後の晩餐を意識して,キリストの血と肉の象徴であるぶどう酒とパンを受けることを中心としてとり行われる儀式です。そこには色々な聖歌や祈祷が含まれますが,主として年間を通じて変わらない「通常文(オルディナリウム)」と,特定の祝日(クリスマスやイースター)にうたわれる「固有文(プロプリウム)」に分かれます。ミサ曲やレクイエムでよく演奏される「キリエ(賛歌)」や「グローリア(栄光の賛歌)」は通常文,「イントロイトゥス(入祭唱)」や「オフェルトリウム(奉献唱)」は固有文であり,それぞれバッハの「ロ短調ミサ」やモーツアルトの「レクイエム」などを経て,近現代になっても変わらないラテン語の歌詞で歌われています。
また,教会の内外では,歌だけでなく簡単な役割を担った者たちが演技を行い,宗教的な内容,例えばクリスマスやキリストの復活の物語などを,多くの観衆を集めて行う演劇が行われるようになり,これを「典礼劇」といいます。特に街中では,聖書も読むことができない町の人々に,キリスト教の教義や聖書の物語をわかりやすく教えることもその目的となってきました。12~13世紀に北フランスで行われた「ダニエル劇」は,旧約聖書をテーマにした作品で,たいへん流行したようです。完全な楽譜が大英博物館に残っており,今でも劇団がこの楽譜を使用して上演することもあります。そのうち,それらは宗教劇にとどまらず,世俗的な人々の物語となり,のちの「オペレッタ」や「オペラ」につながっていきます。このように中世の音楽は,教会から町の中へ徐々に広がりを見せていきます。(画像 ダニエル劇)