「人とつながる音楽家」を目指して
音楽科
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今年度より京都市立堀川音楽高等学校の校長を拝命しました、北村光司と申します。どうぞよろしくお願いします。
さて、令和3年度の始まりは、例年よりも早い満開の桜によってもたらされました。初唐の詩人劉廷芝(りゅうていし)は「年年歳歳花相似 歳歳年年人不同(ねんねんさいさいはなあいにたり さいさいねんねんひとおなじからず)」と自然の悠久さと人の世のはかなさを対比して詠みましたが、人の世にこれほどまでに大きな変化が訪れるとは誰が予測することができたでしょうか。
この2年で私たちを取り巻く環境は大きくその姿を変えました。コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受け、人と人とが集まることさえいろいろな制約の中でしかできない状況となっています。学校も昨年6月に授業は再開したものの、感染の状況に応じて教育活動の内容や順序に様々な制約が課せられています。特に音楽は、そうした制約を一番受けやすい位置にいるといっても過言ではないでしょう。
しかし、だからと言って私たちの中から音楽は消えるのでしょうか? いいえ、音楽は常に私たちのまわりに、そして私たちの中に息づいています。映画「ショーシャンクの空に」の中で刑務所の懲罰房に入れられた主人公は、何もない、窓すらもない独房の中で何をしていたと周りの囚人に聞かれたときに、こう答えます。「音楽を聴いていたのさ。」囚人たちが不思議に思うと彼はこう続けます。「頭の中さ。心でも。音楽は決して人から奪えない。」人は逆境の中にあっても、音楽により救われ、音楽とともにあろうとするものなのです。
さあ、新しい年度が始まります。まだまだ制約は多いことが予想されますが、今こそ私たちは音楽の力を信じ、細心の注意を払いながら「できる」ことに全力を注ぎ、私たちの音楽を研ぎ澄ましましょう。それはやがて、「力」となり、近い将来、多くの人に感動を与える原動力となるはずです。
令和3年 4月 1日
京都市立京都堀川音楽高等学校 校長 北村 光司