「人とつながる音楽家」を目指して
音楽科
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6月7日(火)第2,3限
歌舞伎の音楽 長唄ってなに? ~知る・見る・聞いてみよう~》と題して,1年生を対象に「文化芸術探究事業」を本校音楽ホールにて行いました。
講師には,杵屋勝九郎先生,杵屋寿哉先生(以上,三味線),今藤小希郎先生(長唄)をお迎えし,解説は,本校「日本音楽史」担当の井口はる菜先生にお願いしました。
入学後初めて邦楽を体験する1年生たちは興味津々で,先生方の演奏や説明を食い入るように見つめ,耳を澄まして聴き,メモをとっていました。特に,三味線の構造などの説明では,三味線独自の「サワリ」と呼ばれる構造が,一の糸が上駒から外れていることによって倍音と共振の現象を生み出していることや,調弦が3種類あること,また,調弦は絶対音を表わす訳ではなく,相対的な音程関係を表現していることなど,驚きの連続でした。
歌舞伎のなかで演奏されるBGM「黒御簾音楽」の実演では,川の流れや雪の降る音,幽霊の登場シーン,狸や猿,秋の虫の鳴き声などの表現をクイズ形式で学びました。
質疑応答に移ると,「川の流れの音楽ではテンポの揺れが大きかったが,どうやって合わせているのか?」「唄方の先生の持っている扇子の意味は?」「楽譜はどんなふうになっているのか?」「演奏中,真顔なのはなぜ?」といった疑問から,「本番前に緊張を落ち着かせるためにしているルーティンはありますか?」といった質問まで,次から次へと飛び出しました。
休憩をはさんで,次はいよいよ体験学習です。「三味線体験」には希望者が殺到したため,大ジャンケン大会となり,3ペア6人が体験の権利を勝ち取りました。
それぞれ,わかりやすく丁寧にご指導いただき,「予想以上に重たかった」「手元を見ずに弾くのが難しかった」など,自分の専攻の楽器と比べてさまざまな感想を述べていました。
次は,全員,合唱用マスクに付け替えての「長唄体験」です。三味線をわざわざ実音でチューニングしてくださり,違和感なく歌えるようにしてくださいました。最初は声も小さく自信なさげでしたが,徐々に慣れ,先生方の三味線にあわせて,勧進帳の一節をみんなで歌うことができました。
1年生は,日本の伝統的な音楽を身近に感じ,また,西洋音楽との違いや共通点をさまざまに感じ取ることができたと思います。視野を広げ,音楽を様々な観点から学んでいく一つの貴重な経験になったことでしょう。
お世話になった杵屋勝九郎先生,杵屋寿哉先生,今藤小希郎先生,井口はる菜先生,本当にありがとうございました。