「人とつながる音楽家」を目指して
音楽科
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人に、街に、降り注ぐ、日差しの明るさとぬくもりを、また、さわやかな春風に舞う桜吹雪を、久方ぶりに晴れやかな気持ちで受け入れられる、そんな季節を迎えることができたこの春。今日4月10日、多くの来賓の方々、保護者の方々のご臨席を賜り、京都市立堀川音楽高等学校 第14回入学式を挙行いたしました。
今年度は、新入生ひとりひとりの名前を担任が読上げ、40名の入学を許可いたしました。令和5年度入学生は、本校が昭和23年に「堀川高校音楽課程」として創設されてから数えて、第77期生と呼ばれることになります。
堀音ホールで、在校生が全員列席する本校の入学式、新入生たちは、本校音楽科教員の伴奏での、校歌「海を遠く」の合唱で歓迎を受けました。式辞では、その校歌に込められえた願いについて、作詞者の山本純子先生の言葉をお借りして、新入生たちに次のように伝えました。
さきほど、在校生が入学生のために歌った、校歌「海を遠く」。作詞者の山本純子先生は、歌詞についてのメッセージの中で、「海の波のように、私たちの内側にも呼吸という波が、寄せては返しています。その呼吸のリズムが、ひとりひとりの個性の源なのでしょう。」と語り、また、「人が集まって何かを創り上げるということは、それぞれの呼吸を合わせることでもあります。いろんな場面でさまざまな人と、自由自在に呼吸を合わせていく、やわらかさとしなやかさを養ってほしい。」と堀音の生徒への願いを綴ってくださっています。
そのときどきの自分の呼吸のリズムを自覚することや、いろいろな状況の下で、自分とは異なる他者の呼吸を、時には受容しながら、しなやかにあわせていくことは、たやすいことではないと思います。ただ、山本先生は、音楽を志す若い皆さんになら、それは叶う、それを愉しめる、そう願って素敵な歌詞をくださったのではないでしょうか。私は皆さんが、音楽に真摯に向き合っていく中で、きっとそんな力を培っていく、豊かに育んでいく、そう期待しています。
自分の呼吸のリズムを持ち、そして多様な他者と呼吸をあわせていける力。それは、これからの世界に生きる人々に、最も必要な力でもあるように思えます。
入学生代表のことばを述べてくれた生徒は、私たちはそれぞれ、将来の、音楽の夢を持って入学した。私は将来、オペラやミュージカルなどの舞台に立って歌い、お客様から大きな拍手をもらうことを夢見ている。迷ったり立ち止ったりする時には、「堀音」の仲間とともに、励ましあって自分の音楽を創り上げていきたい、と緊張のなかにも力強く語ってくれました。
15歳にして、自分が向き合いたい何かを見つけ、自ら「音楽」を専門に学ぶ本校を選んでくれた新入生たちの志にどう応えていけるのか、教職員とともに考え続けたいと思います。
77期生の40名が、今日の新鮮な気持ちを大切に、仲間とともに、濃密な時間を積み重ねていってくれることを、心から願っています。
校長 中村 陸子