「人とつながる音楽家」を目指して
音楽科
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11月13日(月)
本校47期卒業生で、現在放映中のNHK大河ドラマ「どうする家康」の音楽を担当されている稲本響さんにご来校いただき、「人とつながる音楽家」を大テーマに据えて、特別授業をしていただきました。
稲本さんは、ピアニストであり作曲家でもありますが、型にはまらないアーティスト、クリエーター、音楽監督として国内外で多彩な活躍を見せる、今大注目の音楽家でいらっしゃいます。
時間割どおりの1時間目の授業を終えて、みんな、どきどきわくわくの期待を胸に、次々とホールに集まってきました。
時を遡り、当日早朝8時前。稲本さん仕様の特注ピアノ「STEINWAY&SONS(NEW YORK)」が、タカギクラヴィア株式会社のトラックで到着。そして、ピアノプロデューサーの高木裕さんが開発なさった、世界で一台しかないキャタピラの運搬機によって本校音楽ホールにスムーズに運び込まれました。その様子を本校教員の撮影チームが録画しました。ピアノ胴体に脚とペダルを取りつけて調律開始。終了後は、演出のため、再び舞台袖へ…
9時50分から始まった特別授業では、校長挨拶、趣旨説明、稲本さん・高木さんのご紹介のあと、ピアノ搬入の様子を撮影した映像を見ながら、このピアノと運搬機について稲本さんと高木さんに解説していただき、ホールにピアノが入るシーンに合わせて、実物が舞台袖からキャタピラに載ってホールに登場!そして、思いがけず、生徒たちをステージに上げてくださり、間近でピアノと運搬機を見せていただくことができました。
続いて、オケセッティングを行い、稲本先輩のピアノとともに、「どうする家康 メインテーマ ~暁の空~」を全員で練習します。オーケストラメンバー以外は、客席からクラップ(手拍子)で加わり、まさに堀音全員による合奏です。稲本さんの30分ほどのレッスンでみるみる素晴らしい演奏に。徐々に高まるみんなの興奮が伝わってきます。最後の本番では録音に臨み、演奏するみんなも聴いている教職員も身震いするような感動がホールいっぱいに広がりました。稲本さんからは「この学校の卒業生でよかった」というお声も。
そして、稲本さんは、サプライズで、毎週「どうする家康」のエンディング「どうする家康ツアーズ」で流れる「豊穣の大地」を演奏してくださいました。
休憩の後は、稲本さん、校長、この企画の主担当である進路指導主事とのトークセッションです。本校在学中の話、ドイツへ留学なさった理由、ドイツでの学び、現在の活動の中で大切にされていること、堀音生が堀音で学んでおくべきこと、などなど、多岐にわたって語ってくださいました。生徒たちからの質問にも丁寧にお答えいただき、「人とつながる音楽家」のイメージがひとりひとり膨らんだようでした。
生徒代表生徒のお礼の言葉のあと、生徒全員の感謝の気持ちを届けるべく、校歌「海を遠く」3番を全員で合唱しました。最後に、ピアノとともに稲本さんとみんなで記念写真を撮影しました。
ああ、これでお別れかと思っていると、なんと、もう一曲弾いてくださるとのお申し出!生徒たちをそのままピアノの周りに座らせて、「どうする家康」の劇中曲「慈愛」を聴かせてくださいました。
オケバージョンの、ドラマを見ながら聴く劇伴ではなく、稲本さんのソロで、生で、間近で聴く「慈愛」……。稲本さんの指先から静かにそして時に力強く、温かにきらめき紡ぎ出される音がホールの空間を満たし、私たちの心をゆさぶりました。涙をこぼしていた生徒もたくさんいて、演奏後は拍手が鳴りやみませんでした。
名残惜しくて離れがたくてどうしようもありませんでしたが、3時間にわたる濃密な特別授業が終了しました。
ぜひまた別の機会に、今回の特別授業についての続報を掲載したいと思います。
この企画には、稲本さん、高木さんはじめ稲本さんの関係者の皆様、また京都市教育委員会にもたいへんお世話になりました。本当にありがとうございました。