「人とつながる音楽家」を目指して
音楽科
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6月26日(水)~28日(金)
今日から3日間、文化庁の「芸術による子どもの育成事業」として、「野口体操」の講座を、各学年ごとに120分ずつ開催していきます。今日は1年生が受講しました。
講師は、身体表現者で美術家の板坂記代子先生と、名古屋市立菊里高校講師(pf)の内藤江美先生のお二方です。
「野口体操」とは、数十年前、東京藝術大学の体育の授業に取り入れられていた体操です。野口 三千三(のぐち みちぞう)先生(東京芸術大学名誉教授 1914~1998)が創始したもので、本校教員のなかにも、東京藝大在学中に体育で習ったという者もいます。
はじめに、板坂先生から、野口体操の誕生について簡単にご説明いただいたあと、キーワードとして3つの言葉をホワイトボードにお示しいただき、みんなで声に出して読みました。
〇力を抜けば抜くほど力が出る
〇自分とは自然の分身・お手本は自然界
〇感覚こそ力なり・丁度いいのが丁度いい
そして、さまざまなモノ(「先生」として紹介されました)が次々に取り出され、楽しい体操が始まりました。
初めの「先生」は大きなポリ幕。数メートル四方のポリ幕のふちをクラス全員でつかみ、ほんの少し上下に動かすと、空気の流れが波となって伝わっていきます。「みんなで、幕の中に入ってみよう」――上にふわりと幕を動かし、中央にみんなで寄り集まって静かに座ると、すっぽりと幕の中に入ることができました。そこでしばらく板坂先生のお話を聞いているうちに、「はじめより膨らんでない?熱で空気が膨張しているんですよ。みんなで立ってみよう。」みんなが立ちあがると、下の隙間から空気が入り、さらに幕が上へと膨らんでいきます。そして、ふわーっと幕がみんなの手から離れて上にまくれ上がりました。「涼しい空気が入ってきたでしょう?冬なら幕がもっと高く舞い上がる。この“差”が大事なんです」
次の「先生」は水袋。赤ちゃんのように扱い、絶対に落とさないように素早く渡していきます。上から下へ流し込むように、そして、膝の使い方がポイントです。
…ほかにも、さまざまな「先生」が登場し、身体そのもので「力を抜く」ことを実感していきました。
寝ころんだ状態で、友人に両足のかかとを持ってゆすってもらうと、胴体から頭の先、手の先へと微振動が伝わってゆらゆらゆれる「寝にょろ」、同じく寝ころんだ状態で、片腕を垂直に上げ、友人にその手のひらを両手で包むように持ってもらって、腕の重さに任せて揺らしてもらうと、蛇のようにぐにゃぐにゃと揺れる「腕にょろ」など、様々な動きを体験するなかで、生徒たちは徐々に「脱力」することを体得していき、一番力が抜けているところが一番よく動いていることを発見します。
最後に、内藤先生が「卵が、茹で卵か生卵か、触って分かりますか?これから、私の身体の中が『茹で卵』か『生卵』かの違いがわかるように、2小節ずつ変化させてピアノを弾いてみますので、みなさん、私の肩甲骨やひじのあたりを触って、違いを感じてみてください。では、2人ずつ、どうぞ。」と促してくださり、ピアノを弾きながら、身体に触らせてくださる内藤先生。触って数秒。みな一様に「うわっ」「おぉー」と驚きの声を上げる1年生たち。
楽器を弾くとき、歌うとき、余計な力が入っているとよい音は生まれません。力を抜くと重力の重さを力に変えられます。フォルテッシモやピアニッシモ、高音の発声、速弾き…、演奏には「脱力」が大切であることを学びました。
終了後、「レッスンの前に、体をゆすってほぐすようにしたいと思います」(声楽専攻)、「これまで、あまり体をうごかさずに練習していたので、これからは柔らかくリラックスした状態で吹こうと思いました」(管楽専攻)などと、感想を述べていました。
体がほぐれて、とても気持ちがよかったですね。
今後の演奏に、日々の生活に、ぜひ野口体操を取り入れていきましょう。
板坂先生、内藤先生、楽しく興味深いご指導をありがとうございました!
明日・明後日も、よろしくお願いいたします。