「人とつながる音楽家」を目指して
音楽科
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立春を過ぎてからの寒波到来は、卒業式を前にした数日の春の空気を、より暖かく心地よく感じさせてくれるものとなりました。
2月28日の卒業式には、多くのご来賓の方々のご臨席、また、卒業生の保護者の皆さまのご出席を賜り、本当にありがとうございました。在校生全員も見守るなか、堀音76期40名に、無事、卒業証書を授与することができました。
私の式辞では、新しい学習指導要領に拠った堀音の教育課程のパイオニアとなった76期が、音楽を学ぶということは「探究」そのものであることを教えてくれたことへの感謝。時代の変化が急激なスピードで進み、また多様な人々、複雑な要素が絡み合い、予想不可能なこれからの時代に、音楽という視座を持つことのつよみ――「知る」ことの大切さを深く感じ取り、解きほぐすのが容易でない問題に対して、目を背けたり、安易に結論を急いだり、諦めたりすることもなく、今は消化できなくとも、気負ったり、無理に整えたりせず、正直にコトと向き合おうとする柔らかさ――を手にしている確かさ。あなた方が、これからの困難に対して、真心をもって人とつながりながら、喜びに向かって歩みを進めていくことを信じる、と伝えました。
同窓会長からのはなむけのお祝辞は、「音楽しか知らないものは、音楽すら理解できない」という言葉から、「多角的な視点・観点」ということについて、「音楽に関する音楽以外の分野からの観点、自分以外の観点、すぐに役に立つかわからない些細な事」という3つの分類を示され、お話を進められました。お話の中の、3つ目の観点、「すぐに役に立つかわからない些細な事」についてお話しくださった部分を、以下に引用させていただきます。
「効率的・合理的などという言葉が持ち上げられる今日では、特に蔑ろにされがちな3つ目ですが、個人的にはその人とその人の音楽的魅力が一番にじみ出るところだと思います。これまでに経験したこと、感動したことの積み重ねによって、皆さんが形成されています。その中には意味があるのか、役にたつのかわからない経験や時間も多分に含まれますが、これらをスピード感を言い訳に『いる・いらない』で乱暴に仕分けるのではなく『一見役にたちそうもないものを存分に楽しみ、取り入れるセンス』を磨くことができれば、友人の何気ない一言も、皆さんが日々の練習において、成長しているのか、停滞しているのか、あるいは後退しているのかわからないあのモヤモヤした時間も、想像と発見と驚きに溢れたものに変わるのでは、と思います。そして私は、これこそが『効率的』な学びなのではないか?と考えております。時間をたっぷりかけて知識や経験を蓄え、無駄を無駄とせず、余白を楽しんで、音楽の様々な面を皆さんには発見し続けてほしいなと思います。」
続く、在校生代表の送辞、卒業生代表の答辞は、どちらもこの堀音でのさまざまなつながりを有難く受け止め、目線を上げて未来に向かおうとする、爽やかな言葉でした。
76期の皆さん、あなた方ひとりひとりの人生は、まぎれもなく、世界初演。ひとりひとりの音楽とともに、堂々とお行きなさい。あなた方のこれからの日々が、そしてあなた方の生み出す音楽が、豊かなれ、とひたすらに念じ、76期の門出を心からお祝い申し上げます。
校長 中村 陸子