「人とつながる音楽家」を目指して
音楽科
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学校長の式辞は、以下のとおりです。
式辞
今年の冬は寒さの厳しい日が続きました。本校東門にある寒紅梅もここに来てやっと満開となり、次は桜のつぼみの開花、春の訪れを待つばかりとなりました。どこか一抹の名残惜しさと何ともいえず心躍る期待感、毎年のことながら年度の節目にあたり、複雑な思いと同時に、確実に訪れる季節の移ろいと時の流れの早さをあらためて感じさせられる今日この頃です。
本日は、京都市教育委員会学校指導課中村指導主事様、PTA音友会冨田会長ならびに役員の皆様、京都堀音同窓会塩見会長様、堀音父母の会貞松会長様、城巽自治連合会会長香川様のご臨席を賜り、京都市立京都堀川音楽高等学校第8回卒業式を挙行できますこと、厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。
ただ今、第69期生に卒業証書を授与いたしました。めでたくこの日を迎えた卒業生の皆さん、あらためて「卒業おめでとう」。本日受験のため、やむを得ず式に出席できない卒業生もありますが、健闘を祈り、ともに卒業を祝福したいと思います。 また、保護者の皆様、お子様のご卒業誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。今日の晴れの日をむかえられ、感慨も一入のことと存じます。ご入学以来、本校の教育活動にご理解をいただき、様々な角度からご支援を賜りましたことに、心より感謝いたします。ありがとうございました。
3年前の2015年春の入学式…、学校長式辞として、69期生を前に、このような言葉で激励し、入学を許可しました。『 校歌「海を遠く」の歌詞の中に『ゆらめき きらめくものを追いかけ手にすくおう』『心を合わせ、そよげば歌がひろがる』『たたんだ翼をひろげ、恐れずに向かっていこう』とあります。「音楽」を通した学びの過程で、自らの個性を磨き、伸ばし、他者の思いに心を寄せ、自分に何ができるか思索してください。そして3年後には、与えられた環境の中から思い切って翼を広げ、大きく飛び立ってほしい。』と。さらにしめくくりとして、皆に吉田松陰の言葉を贈りました。『志を立ててもって万事の源となす。』これは 何事をするにも志がなければ何にもならない。志を立てることが第一である。という訓えです。
あの入学式の日から3年間…。君たちは、歴史と伝統を誇るこの名門音楽高校で、先輩たちの後に続き、音楽の専攻実技や専門知識はもとより、学力と教養、将来社会を生き抜くために必要な力を培ってきました。加えて、城巽地域の方々にあたたかく育まれながら、最新の恵まれた施設の中で、様々な行事や取り組みを通して仲間とともに経験を積み重ね、新たな歴史を刻んできました。実技試験、定期演奏会、音高祭、ヨーロッパ研修旅行等の大きな行事はもちろん、日々のHR、授業、レッスン等、専攻の仲間や先輩後輩や先生方とのやりとり、それらを経験していく過程、その度ごとに、まちがいなく着実に成長をとげてきたはずです。同時に、音楽を心から愛し、自分たちがこの京都堀音の伝統をつくっていくのだという強い意思を感じました。その思いは今後、後輩たちに受け継がれていくと信じています。君たちと同じく今年 節目をむかえる私自身、69期生とはコンサート企画など新たなことにも積極的に挑戦し、また、ヨーロッパ研修旅行にも同行する等、3年間、ともに充実した日々がおくれたこと、うれしく、皆に感謝したいと思います。
さて、現代社会は、国際情勢、政治、経済、教育、情報の氾濫…、日本では今冬季オリンピックの感動も冷めやらぬところではありますが、そのスポーツや芸術文化の世界においてまで、苦悩や諸課題が山積し、とりまく状況は日々変化し、 そのスピードに対応していくことの非常に困難な時代だと言わざるをえません。しかし、時代はどのように移りかわろうとも、芸術、特に「音楽」が内蔵する大きな力は永久に不変です。それは人を幸せにする崇高なものでなければなりません。だからこそ君たちには、ぜひ、その才能を活かし、音楽を追求し発信することの価値や可能性を常に模索し、この先も絶えることなく、それぞれの生き方を通して表現し続けてほしいのです。
生きるということは時間を流すことではありません。人類が積み重ねてきた 文化に、どんなに小さくてもいい、自分の文化を積み重ねることです。そして、一生を真に充実して生きる道は、結局のところ、「今日」という日を真に充実して生きるほかありません。「限られた価値ある人生をともに尊重し合い、しっかり生きる」という原点に立ち返り、落ち着いて、しなやかに、かつ、力強く物事の真理を求めて生きてゆく地道な姿勢を大切にしてください。
君たち69期生は、それぞれに個性豊かな音色を奏でながら成長を遂げ、 いよいよ、さらなる大きな世界へと踏み出す時をむかえました。過去が咲いている今、未来の蕾で一杯な今。高校卒業はあくまでも人生の通過点です。今後も 絶えることなく、真摯に、音楽そして自らの人生と向き合って生きてください。そしてこの21世紀、混沌とした時代だからこそ、常に新たな自己改革を求め続けてほしいと切に願います。
2018年春…69期生の巣立ちにあたり、最後にあえて、3年前の入学式で伝えた吉田松陰の言葉をもう一度、はなむけとして贈りたいと思います。
『志を立ててもって万事の源となす。書を読みてもって聖賢の訓えを考う。』
何事をするにも志がなければ何にもならない。志を立てることが第一である。そして書を読み、教養を深め、聖人・賢人の教えを学び、自分の生き方を考えることが大切である。常に大きな夢と「音楽」を携えて…。
平成30年3月1日
京都市立京都堀川音楽高等学校
校長 山脇 護
<写真上>卒業証書代表授与
<写真中>皆勤賞表彰
<写真下>答辞