「人とつながる音楽家」を目指して
音楽科
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6月12日(火)
米国の作曲家、チャド・キャノン氏と、彼が2013年に設立したアジア・アメリカ現代音楽協会(AANMI)のメンバーのみなさんが本校を訪れ、キャノン氏の作品を本校生徒全員がオーケストラ・合唱で演奏研究する「現代音楽ワークショップ」を開催してくださいました。
ここ京都を皮切りに、AANMIのみなさんが行われる、日本では初となるコンサートツアーの一環で、6月11日~13日にかけて開催される京都市でのイベントのひとつとして、実現したものです。
本校生は今日、ほとんど初見のかたちでキャノン氏の作品「INVISIBLE SEA」第2楽章に臨みました。
キャノン氏と指揮者ユウガ・コーラー氏は、ともに日本語が堪能でいらっしゃり、キャノン氏の、この作品の着想のきっかけや表現の眼目などの説明のあと、コーラー氏の軽妙な語り口による指導で、ワークショップが始まりました。
楽譜のなかに、作曲家(キャノン氏)の指示が文で書かれている箇所が何か所かありました。現代音楽に現れる「特別奏法」についての指示です。
コーラー氏から「クラシックを学ぶ上で、言語は非常に大切。作曲家の指示を正確に読み取って演奏すること。」との話があり、キャノン氏がヴァイオリンで実際に手本を見せてくださったりしながら、学んでいきました。
たとえば、弦楽器のある特別奏法についての話では、「この奏法は、ストラビンスキーの『火の鳥』や『春の祭典』にも出てきますよ。」とか、管楽器に対しては「楽器を通して呼吸し、水や風の音を表現してみましょう。」など、具体的にご指導いただきました。
1時間半に及ぶワークショップの最後の演奏では、初めの通し演奏とは比べ物にならないほど、水や風の表現、ダイナミズム…すべてが素晴らしく、みな興奮を抑えきれない様子でした。
キャノン氏は「現代音楽は抽象的でわかりにくいと思うかもしれないが、こうして音楽の意味を作曲家と演奏家が話し合い音楽を創り上げることができるのが、現代音楽の楽しみです」とおっしゃいました。
質問コーナーを挟んで、後半は、メンバーであり作曲家の小杉紗代さんの作品「Akebono」をヴァイオリン・チェロ・フルート・オーボエのAANMIメンバーによる四重奏をお聴かせいただきました。美しくそしてダイナミックな音楽に、拍手喝采!
最後に、今回のコーディネート役である本校の蔵野先生から「作曲家が生きて同じ空間に存在する、そして、ともに音楽を創り上げるという、今回の経験は、とても素晴らしいものだった。これから先、音楽家として生きていくうえで、今、現代音楽をこのような形で学べたことは、本当に貴重。この経験を心にとどめて、今後の音楽の学びに生かしてほしい。」とのまとめがありました。
解散後は、多くの生徒たちがキャノン氏やコーラー氏、そして、AANMIメンバーの周りに質問やサインを求めて集まって、いくつかの輪ができました。
本当に素晴らしい経験を、ありがとうございました。
AANMIのみなさん、そして、今回のワークショップの実現にご協力くださった京都市ならびに京都市教育委員会のみなさまに感謝いたします。
【写真1枚目】ワークショップの様子
【写真2枚目】四重奏を聴く本校生徒
【写真3枚目】AANMIメンバーと本校生の交流
【写真4枚目】校舎前での記念撮影