「人とつながる音楽家」を目指して
音楽科
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平成31年4月8日(月)
本日10時30分より,京都市立京都堀川音楽高等学校 第10回入学式を挙行し,73期生40名を迎えることができました。
校長の式辞は次のとおりです。
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今年の桜は、この入学式に合わせるかのように京都中で咲き誇り、本校玄関のソメイヨシノも美しい花を咲かせて彩りをそえてくれています。
ただ今、平成31年度入学生、40名の入学を許可いたしました。 新入生の皆さん、入学おめでとうございます。京都堀川音楽高等学校 教職員一同、そして在校生一同、新入生の皆さんのご入学を 心より歓迎いたします。
本校は、1948年(昭和23年)に 、「堀川高校音楽課程」として創設されました。その後、出雲路学舎、岡崎学舎、沓掛学舎と移転し、1997年(平成9年)、日本で唯一の公立の音楽高等学校として独立しました。そして平成22年4月、ここ城巽の地に移転してまいりました。新校舎とともに校名も、「京都市立京都堀川音楽高等学校」と 改称して、新たな一歩を踏み出し、本日、第73期生を迎えることができました。
創設以来、音楽を専門とする公立の高等学校として、全国から高い評価を受け、今年71年目をむかえる歴史の中で、本校は、国内のみならず、世界で活躍する音楽家を数多く輩出してきた、輝かしい伝統を誇る音楽の名門校であります。君たちには 本日から、この京都堀川音楽高等学校生の一員としての誇りと自覚を持って過ごしてほしいと思います。
さて、本校の教育目標は「人権尊重の精神を基盤に、心豊かな人間を育てるとともに、将来幅広く音楽専門家として活躍し、文化の発展に貢献する人を育成する」ことです。私は、君たちに本校での学びを通して、「本物の音楽」というものを追求してもらいたいと思っています。私は、「本物の音楽」とは、「人の心の奥深くに響き、その心を大きくゆさぶる力がある音楽」と考えます。天上からふりそそいでくるような神々しい響き、苦しみや悲しみをいやしてくれる暖かなハーモニー、喜びや希望がわき上がってくるような明るく力強い音色……。素晴らしい楽曲の見事な演奏や歌は、私たちの心を震わせ、感情を刺激します。自然と涙があふれてくることもあるでしょう。そんな音楽を生み出すことができるのは、単にテクニックが優れているからではなく、その音楽家が豊かな人間性をもっているからではないでしょうか。ですから、君たちには、人権を尊重し、人を思いやる気持ち、人への愛、人とのつながりを大切にしながら音楽を学んでいってほしいと思います。
人間性を豊かにするために、自ら進んで教養を身につけ、視野を広げようとする姿勢を常に持ち続けてください。その基礎基本となる「確かな学力」を培うことも、けっして怠らないでください。君たちの大きな夢の実現への道は、「音楽力」とそれを裏づける「幅広い教養」の両方がそろってこそ、開かれるのです。
もう一つ、お話しします。京都堀川音楽高校がある、ここ城巽学区を中心とした堀川通り沿いは、かつて友禅染が盛んでした。京友禅は様々な技法を駆使し、特徴的な模様と豊かな色彩で彩られ、一つ一つの色彩が主張しつつも、互いに引き立てあうことで全体として非常に高いレベルで調和しており、芸術的な美しさがあります。一方、音楽もまた、様々な音色の楽器や個性豊かな声が、それぞれに主張し、引き立てあいながら豊かなハーモニーを奏で、人々を魅了します。君たちはこの城巽の地で音楽を専門とする学びをはじめるのです。色彩豊かな京友禅のように、音楽的にも人間的にも、一人一人が自分自身に磨きをかけ、色鮮やかに主張し、また互いを生かし合いながら、仲間と共に美しく豊かなハーモニーをつくりだしてください。これからの三年間、時間を無駄にすることなく、音楽を思う存分「学べる」という歓びをかみしめながら、日々、同じ志を持つ仲間と共に、学び合い、助け合い、競い合い、認め合い、そして響きあいながら、将来に繋がる大きな「人間力」を培ってほしいと思います。
本校の校歌「海を遠く」の歌詞に
『こころを合わせ そよげば 歌がひろがる』
『ひとりでできないことも、わたしたちが集えばできる』
『たたんだ翼をひろげ 恐れずにむかっていこう』
とあります。
音楽を通した学びの過程で、自らの個性を磨き、伸ばし、他者の思いに心をよせ、自分に何ができるか思索してください。そして三年後には、自信を持って、翼を大きく広げて飛び立ってほしいと願っています。
最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご入学 誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。お子様方は、この晴れの日を迎えられるまでの間、確固たる意志を貫き、たゆまぬ努力を重ねてこられたと思います。それを、これまで支えてこられた間には、並々ならぬご苦労があったであろうと拝察いたします。これからは、お子様が自ら主体的に物事に取り組み、一人の自立した青年に成長されますよう、教育活動を進めてまいりたいと存じます。どうかご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
73期生のみなさん、音楽を深く愛し、自分の中にある無限の可能性を信じて、これからはじまるあらゆる事柄に積極的に臨んでいってくれることを、心から願い、式辞といたします。
平成31年4月8日
京都市立京都堀川音楽高等学校長 江草 健