「人とつながる音楽家」を目指して
音楽科
〒604-0052 京都市中京区油小路通御池押油小路町238-1[MAPを見る]
TEL. 075-253-1581 FAX. 075-213-3631
おはようございます。
昨日,1,3年生に電話をしました。皆さん元気で,家で練習したり,課題の学習を頑張っているようで,少し安心しました。近所を散歩してます,とか,軽いトレーニングしていますとか,お料理していますとか,ゲームしていますとか,それぞれでうまく自分の時間を過ごしているようです。次に会える日まで,生活のリズムを保って頑張りましょう。今日は,2年生に電話します。それから,次の課題を今日中に郵送しますから,明日以後に届くと思います。
さて,今日の先生からのメッセージは,実践的な練習に役立つものです。少し長いですが,是非,実際実行してみてください。
「B-durのアルペジオの練習方法」(ペンネーム:山屋)
24調あるアルペジオの内、みなさんはどの調性が苦手ですか?私はB-durのアルペジオが苦手です。特に左手が3,2,1(注:ピアノの指番号は弦の指番号と違います)の三本指だけで弾くのが、どうも…苦手で…
今日の朝のメッセージは、その練習方法を書いてみようと思います。
B-durのアルペジオは左手の3,2,1で、それぞれB,D,Fの音を弾くのですが、この3音だけであれば特に難しいことはないですよね?
難しいのは左1指のFから左3指のBにひっくり返す時と、ひっくり返した直後の左2指のDが外れることではないですか?
これらを全部ひっくるめて練習すると、2か所の難しい部分を一気に弾くことになり、余計に難しくなってしまうので、まずは難しい部分を1か所にしちゃいましょう。
最初は左3,2,1,2,3のB,D,F,D,Bの3音だけで練習してみてください。B,D,Fの3音を弾いたら、そのままD,Bと最初のB音に戻るだけです。
これだけなら難しくはないですよね。
じゃあ、次です。
今度は左3,2,1,3,1,2,と、Bから始まりD,Fを弾いたら、次のBまで行ってF,D,Bと最初に弾いたBの音に戻ってみましょう。
どうですか?難しいでしょ?
最初はこのオクターブの動きをゆっくり弾いてみてください。
特に手首をひっくり返した時の3の指が、ちゃんとBの鍵盤に届けてから打鍵するようにしてください。(手首をひっくり返す時、肘の使い方もポイントになるのですが、手首が動くより前のタイミングで、手首をサポートするように肘を動き出させることがポイントになります)
B,D,F,B,F,D,B,D,F,B,F,Dと、動きを止めずに、4音のオクターブをゆっくり何度も何度も繰り返し練習するのがコツとも言えないコツです。
この動きに少し慣れてきたら、テンポをほんのちょっと上げてみましょう。
ほんのちょっとテンポを上げるだけですが、格段に難しくなります。その時は、外さずに弾けるテンポに戻って正確な動きの感覚を取り戻してください。
この4音の動きに慣れてきたら、次はいよいよその次の音のD音を加えて5音にします。
左3,2,1,3,2のB,D,F,上のB,Dです。
どうですか?一番上のDの音に2指が届いてますか?上のD音に意識が取られて、その前の手首をひっくり返した直後の3指Bの打鍵が雑になってませんか?
ゆっくりゆっくり5つの音を正確に打鍵していきましょう。
ここで、さらに分割して練習することもできます。
難しい所は左1,3,2の所なので、この部分だけ取り出してみます。
つまり左1,3,2のF,B,Dの3音だけで練習してみましょう。やり方は一緒です。3音の打鍵位置が分かってきたら、また往復させてみましょう。左1,3,2,3,1の繰り返しです。
ここで発展編です。
左1指のFから始め、左3,2,1とオクターブ上のFまで行ってみましょう。
つまり左1,3,2,1のF,B,D,上のFです。左1指から左1指までのオクターブの4音の感覚がつかめたら、これもオクターブで往復できるようにすると、かなり手首も肘も柔らかく使えて、練習の最終段階に近づくことができます。
余談ですが、この部分は1指から始めるので、弾き始める時、微妙に左肘が上がってませんか?実は、その肘の位置が1指を弾く時に楽なポジションなんです。覚えておきましょう。
さて、ここまでやってきて、それぞれの難しい部分を練習して弾けるようになってきたら、次はいよいよ最初のBから5音をつなげてみましょう。左3,2,1,3,2のB,D,F,それと上のB,Dです。以前よりだいぶ楽になっていませんか?
(「まだダメだー」と言う人は、4音、5音の練習、あるいは左1,3,2,2,1の練習にリズム練習を加えてみましょう。私の経験からすると付点や逆付点が効果的です)
これで左1,3,2の動きに慣れてきたら、2オクターブに広げてみましょう。
「同じ動きをするだけだし2オクターブ目も楽勝」…と思ったら大間違い!ピアノの場合、オクターブ違うと手のポジションが全く違うポジションになります。つまり今度は腕と上半身との関係も出てきます。3オクターブ、4オクターブと音域が上がるにつれ、左腕が自由に動くようにするためには、座る姿勢やポジションも大切になってきます。
ここまで書いてきて、これですんなりとB-durのアルペジオが弾けるようになるとは思えなくなってきました…(苦笑
ピアノを弾くのも難しいですが、教えるって…難しいですね。
今回はB-durのアルペジオ、左手のことについて書いてみましたが、今みなさんが練習している曲にも技術的に難しい所が必ずあると思います。
そこを練習する時、闇雲に練習するのではなく、「どこ」が「どう」難しいのかを考えて練習することで効率を上げることができます。
「ここは難しいなあ…」と思う場所も、「簡単な部分」「難しい部分」「簡単な部分」の組み合わせになっていると思います。この3つの部分をつなぐ練習方法を考えることと、諦めずに何度も何度も(やけを起こさずに)繰り返して練習していると、ある日突然
「あ・・・・できた」
の瞬間が必ずやって来ると信じています。
時間のかかる練習方法ですが、これも練習方法の一つとして応用して使ってみてください!
ガンバ!