「なりたい自分」を探し、深める!
普通科・教育みらい科
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3月1日(火),卒業証書授与式を本館3階・旧体育館にて挙行しました。
新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の一環として,本年度もできる限りの工夫をして実施することといたしました。例えば,保護者や御来賓の皆様の御臨席を御遠慮いただくとともに,在校生の参列も2名に限って卒業生の皆さんの座席の間隔を広げたり,御祝辞は印刷による披露のみにして時間を短くしたり,歌の斉唱を控えて飛沫の飛散による感染リスクを避けたりといった形をとらせていただきました。
このような状況の中ではありますが,御来校くださいました保護者の皆様には別会場からお子様方の様子を同時中継で見守っていただきながら,無事に卒業生を送り出すことができました。誠に有難うございました。
「式辞」は,次のような内容でした。
明るい春の光が感じられる今日の佳き日に,京都市立塔南高等学校第59回卒業証書授与式を挙行するにあたり,新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のために御来賓の皆様の御臨席は御遠慮申し上げ,保護者の皆様には別会場にて御視聴いただくことといたしました。お忙しい中御来校賜り,厚く御礼申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は終息の兆しがいまだ見えず,いわゆるコロナ禍によって社会のありようや私たちの暮らしは大きく変わりました。本校においても,臨時休校や分散登校,学校行事や課外活動の中止・大幅な変更・活動内容の長期にわたる制限等,さまざまなことがありました。学校としましては,生徒の皆さんの命と健康を守ることを第一に考えながら,かけがえのない学校生活を充実したものとするべく,折々の状況の中で,できる限りの工夫をしてきました。本日の卒業証書授与式も例年とはずいぶん異なる形で行わざるを得ず,卒業生や保護者の皆様にとって最も良い形で実施することがかないませんでした。誠に申し訳なく思っております。
しかしながら,先ほど卒業証書を授与いたしました普通科194名,教育みらい科40名,計234名の卒業生の皆さんの門出に際し,心からの祝福を込めて申し上げたいと思います。御卒業おめでとうございます。
皆さんは,この3年間,学業,学校行事,部活動,ボランティア活動等に全力で取り組み,充実した高校生活を送ってこられたことと思います。本日のこの喜びは,皆さんのたゆまぬ努力の結果であることは言うまでもありません。加えて,この時を迎えることができたのは,皆さんのことを絶えず気遣い支えてくださった,御家族をはじめとする周囲の方々の励ましがあったからだと思います。また,世界に目を向ければ,皆さんと同じような年代であっても,戦争や病気の蔓延等によって明日の命さえ保障されず,将来の希望を描くこともできない子どもや若者が多く存在しています。この節目のときに当たり,多くの人々の支えの中で安心して学校生活に集中できる環境にいられたことの素晴らしさ・ありがたさを,しっかりと胸に刻んでほしいと思います。
令和3年度は,一年遅れで実施となった夏の東京大会と冬の北京大会(パラリンピックは4日から開催されます)とがともに行われる,オリンピック・パラリンピックイヤーです。アスリートが競技に打ち込む様子やそこに至るさまざまなエピソードはもちろん,それを支えるスタッフの真摯な姿を通して,さまざまな感動や気づきがあったことと思います。体操の内村航平選手や競泳の池江璃花子選手,フィギュアスケートの羽生結弦選手をはじめ,たくさんお伝えしたいことはあるのですが,一つだけに絞ります。それは,冬季オリンピック「カーリング」競技女子チームの藤澤五月選手が,イギリスとの決勝戦の際に手の甲に記していた言葉です。こんな3つのフレーズでした。「Move together(ともに動こう),Trust yourself(自分を信じよう),Have fun(楽しもう)」です。この言葉を目にしながら,大事な試合で自分自身を鼓舞していたことを知り,大変感銘を受けました。これから次のステージに進む皆さんにとって,どれも大切な考え方だと思いますので,はなむけの言葉として,繰り返しておきます。「Move together,Trust yourself,Have fun」・・・仲間と協力・連携しながら,自分に自信をもって,挑戦する過程を楽しみ,道を進んでください。
さて,世界は,「VUCAワールド」,予測不可能な変化の激しい社会と言われ続けてずいぶん経ちますが,新型コロナウイルス感染症の世界的な流行による社会のかたちの大きな変化,度重なる風水害や地震等といった自然環境の猛威までもが頻繁に起こっています。不安定さや不透明感が増し,先が見通せない状況の中で一層大切になるのは,失敗を恐れず一歩踏み出し挑戦する勇気,チャレンジ精神です。先が見通せない時代だからこそ,挑戦してみる価値や面白さがあります。
こんな言葉があります。「良い習慣が良いキャリアをつくり,良い関係性が良い偶然をつくる」・・・「良い習慣」には,継続性という意味のほかに,「ちょっと背伸びをし続ける」という意味も含まれていると思います。可能性あふれる皆さんには,「自分の許容範囲を少し超えてみる」よう心掛けることをお勧めします。また,「良い関係性」には,人と人との出会いや縁を大切にし,初めて会った多様な人々とも信頼関係を作る,という意味をも含めて考えてほしいと思います。コロナ禍の中でデジタル化・リモート化が進み,テレワーク,遠隔診療,オンライン授業等,さまざまなコミュニケーションがオンライン化されています。そのような状況だからこそ,場を共有する,いわばライブでの出会いはもちろん,オンラインによる画面を通しての出会いであっても,「一期一会」の心で,今この時を共有するかけがえのなさや楽しさを存分に感じながら,さまざまな人との関係を築いてください。
次に申し上げたいのは,「学び続けること」の大切さです。好奇心をフルに働かせて,知識や技術の引き出しをできるだけたくさん持つように心掛け,生涯を通じて精神的に豊かな人生を送ってほしいと思います。皆さんに特にお願いしておきたいのは,自らが拠って立つ日本の歴史や文化はもちろんのこと,諸外国の歴史や文化にも通じ,自分の言葉で語れるようになってほしいということです。世界中の人々と,互いの文化や歴史について語り合い,新しい気づきを得たり理解を深め合ったりすることは大切であり,何より楽しいことです。とりわけ,皆さんは,ここ京都で生まれ育った若者です。京都生まれのアドバンテージを活かしながら,文化を異にする人と交流するときにも,実感のこもった言葉で,日本や京都の歴史・文化・魅力を語ってください。そうして培った多種多様な知識・思考・行動が皆さんの中で蓄積・発酵して美しいハーモニーを奏ではじめる,その過程や変化を面白がってほしいと思います。
また,大切にしてほしいのは,「自己の力を自分のためだけに使うのではなく,社会に活用・貢献して人の役に立ちたい」という気持ちです。「自分さえよければよい」という姿勢ではなく,自分の良心に正直に,「人とともに」「人のために」という気持ちで,「与えることのできる人」になってください。皆さん一人一人に備わっている「良心」や「人間的な善さ」をこれからも大いに発揮して,人間的魅力を高めてください。
最後になりましたが,高いところからではございますが,別会場にて同時中継を御覧くださっています保護者の皆様に,一言御挨拶申し上げます。本日は,お子様の御卒業まことにおめでとうございます。高校生という多感な時期を送るお子様に,ある時は厳しく,ある時は温かく寄り添いながらの3年間であったと思います。立派に成長されたお子様が新たな旅立ちを迎える今日,まさに感慨無量でいらっしゃることと拝察いたします。最後の節目の時を直接御覧いただくことがかなわず,誠に心苦しく存じます。これまでの,本校の教育活動に対する温かい御支援・御協力に,厚く御礼申し上げます。
それでは,卒業生一人一人の新たな一歩と,それに続く輝かしい未来に大いに期待して,式辞といたします。
令和4年3月1日
京都市立塔南高等学校
校長 小野 恭裕
[写真]
1段目
左 卒業証書授与の様子
右 式場内の様子
2段目(式終了後)
左 別会場の保護者の皆様への学年主任挨拶
右 各学級での証書授与(HR教室内)
3段目
左 各学級での証書授与(中継を御覧になる保護者の様子)
右 教室ごとの黒板アート(一例)