「なりたい自分」を探し、深める!
普通科・教育みらい科
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本日は3月1日。七十二候では「草木萌え動く」[第六候]の始まりの日です。昨日の雨から一変して,今日は気持ちの良い天気で卒業式を迎えることができました。
保護者の皆様,お忙しい中多数御参列くださいまして,誠に有難うございました。会場の大きさの関係からすべての方にお座りいただくことができず,御不便をおかけしまして,誠に申し訳ございませんでした。
また,京都市教育委員会,地元祥栄学区自治連合会長様をはじめ,PTA・愛校会等,御来賓の皆様にもご多用中のところ多数御臨席賜りまして,誠に有難うございます。
お蔭様で,厳粛な中にも温かみのある,塔南らしさがにじみ出た素晴らしい式を挙行することができました。
「式辞」は,次のような内容でした。
平成三十年度卒業証書授与式「式辞」
明るい春の光が感じられる今日の佳き日に,京都市立塔南高等学校第56回卒業証書授与式を挙行するにあたり,京都市教育委員会をはじめ,多数の御来賓,保護者の皆様方の御臨席を賜りまして,有難く厚く御礼申し上げます。
ただいま,普通科235名,教育みらい科40名,計275名に卒業証書を授与いたしました。
卒業生の皆さん,御卒業おめでとうございます。
皆さんは,この3年間,学業,学校行事,部活動,ボランティア活動等に全力で取り組み,充実した高校生活を送ってこられたことと思います。本日のこの喜びは,皆さんのたゆまぬ努力の結果であることは言うまでもありません。加えて,この時を迎えることができたのは,皆さんのことを絶えず気遣い支えてくださった,御家族をはじめとする周囲の方々の励ましがあったからだと思います。また,世界に目を向ければ,皆さんと同じような年代であっても,戦争や病気の蔓延等によって明日の命さえ保障されず,将来の希望を描くこともできない子どもや若者が多く存在しています。この節目のときに当たり,多くの人々の支えの中で安心して学校生活に集中できる環境にいられたことの素晴らしさ・有難さを,しっかりと胸に刻んでほしいと思います。
さて,現代は「VUCAワールド」,つまり,予測不可能な変化の激しい社会であると言われています。これまででは考えられないようなことが次々と実際に起こって不安定さや不透明感が増し,世界はまさに大きな変革期にあります。
日本国内では,2036年には国民の約3人に1人が65歳以上の高齢者になると推計されています。その後も少子化の流れとも相まって,総人口は減少しながら高齢化率は上昇を続け,人手不足や過疎化がさらに深刻化し,まちや社会のかたちも大きく変わっていくことでしょう。社会課題の解決と新たな価値の創造を図るため,政府や産業界では「Society5.0」と銘打って「超スマート社会」の構築を模索しています。今後,IoT,ロボット,人工知能(AI),ビッグデータ等がさらに進展・連携してゆくはずです。人工知能やロボットが得意なことはそれを活用して業務を効率化することにより,人間は人間にしかできない創造性が求められる分野を担うようになる等,仕事の質も変わっていくことと思います。
こうした状況の中で,今後一層大切になるのは,失敗を恐れず,一歩踏み出し挑戦する勇気,チャレンジ精神です。先が見通せない時代だからこそ,挑戦してみる価値や面白さがあります。
まずは目的地を決めましょう。5年後,10年後のなりたい自分,理想像を明確にし,どうすればそこにたどり着けるか,戦略やビジョンを考えてみてください。その上で,アンテナを常に高く立てて,新しいこと・経験していないことにも積極的に取り組み,常に楽観的・ポジティブに考えながら,たとえ失敗しても屈せずに努力し続け,「今この時」を思い切り生きてください。
こんな言葉があります。「良い習慣が良いキャリアをつくり,良い関係性が良い偶然をつくる」・・・「良い習慣」には,継続性という意味のほかに,「ちょっと背伸びをし続ける」という意味も含まれていると思います。可能性あふれる皆さんには,「自分の許容範囲を少し超えてみる」よう心掛けることをお勧めします。また,「良い関係性」には,人と人との出会いや縁を大切にし,初めて会った多様な人々とも信頼関係を作る,という意味をも含めて考えてほしいと思います。
次に申し上げたいのは,「学び続けること」の大切さです。好奇心をフルに働かせて,知識や技術の引き出しをできるだけたくさん持つように心掛け,生涯を通じて精神的に豊かな人生を送ってほしいと思います。学ぶと言えば,皆さんに特にお願いしておきたいのは,自らが拠って立つ日本の歴史や文化はもちろんのこと,諸外国の歴史や文化にも通じ,自分の言葉で語れるようになってほしいということです。世界中がネットワーク化され関係が深まっている中,互いの文化や歴史について存分に語り合い,新しい気づきを得たり理解を深め合ったりするのは大切ですし何より楽しいことです。とりわけ,皆さんは,ここ京都で生まれ育った若者です。京都生まれのアドバンテージを活かしながら,文化を異にする人と交流するときにも,実感のこもった言葉で,日本や京都の歴史・文化・魅力を語ってください。
また,大切にしてほしいのは,「自己の力を自分のためだけに使うのではなく,社会に活用・貢献して人の役に立ちたい」という気持ちです。「自分さえよければよい」という姿勢ではなく,自分の良心に正直に,「人とともに」「人のために」という気持ちで,「与えることのできる人」になってください。皆さん一人一人に備わっている「良心」や「人間的な善さ」をこれからも大いに発揮して,人間的魅力を高めてください。
最後になりましたが,高いところからではございますが,保護者の皆様に一言御挨拶申し上げます。本日は,お子様の御卒業まことにおめでとうございます。高校生という多感な時期を送るお子様に,ある時は厳しく,ある時は温かく寄り添いながらの3年間であったと思います。立派に成長されたお子様が新たな旅立ちを迎える今日,まさに感慨無量でいらっしゃることと拝察いたします。これまでの,本校の教育活動に対する温かい御支援・御協力に,厚く御礼申し上げます。
5月からは平成にかわる新しい元号がスタートします。そして秋にはラグビーのワールドカップ,来年にはオリンピックやパラリンピック,2025年には万国博覧会も行われる等,これからさまざまな動きがあります。こういった時代の中で新しいステージへと旅立つ卒業生の皆さんの輝かしい未来に大いに期待して,式辞といたします。
平成31年3月1日
京都市立塔南高等学校
校長 小 野 恭 裕