美術を通して、これからの時代を生き抜く力を磨く!
美術工芸科
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後期始業式にあたって
凸 凹
2018年度後期が今日からはじまります。
先日開催した「第39回美工作品展・3年生展」は、4日間で約4000人の方々に来場していただき無事終了しました。来場された皆さんは作品展を高く評価してくださり、また制作した3年生、指導していただいた先生、そして銅駝という学校を褒めてくださいました。私はこの学校で働く教員の一人としてとてもうれしく、誇らしく思いました。お疲れ様でした。
私は始業式に、学校は単なる入れものではなく生き物のようなものである。だから「鼓動」「体温」「息づかい」が感じられるところでなければならないと言いました。4月から今日まで、皆さんと教職員とで、昨年度とは異なる「鼓動」「体温」「息づかい」のある学校にしてこれたのではないかと私自身は思っています。もう少し丁寧に見てみると、ひとは、日々同じ調子で過ごすことはできません。前へ被さるような勢いのときもあれば、心や体を維持することがしんどいようなときもあったかもしれません。また心と体のバランスがとりにくいときもあったでしょう。人と同じ活動をする場面でも、ある人には平らな道を歩くように感じられても、ある人には角度の急な階段を上るように感じることもあります。人の心や体のあり様は多様で、どれが正しいとか優れているとか簡単に評価できるものではありません。
自分のこと、まわりの人のことを、今一度振り返ってください。人はそれぞれ個性や特性があり、真っ平らであったりツルンとしている人はいません。みんなそれぞれ凸凹があって、集団としても凸凹があって当たり前です。凸凹は単にプラスとマイナス、いいところと悪いところという意味でありません。学校はそういう凸凹のある多様な人々が生活する場です。それで普通です。もっと言えば、凸凹はずっと同じ形のままではなく変化するものです。その変化をつくり出すのが学校だと思います。私はこんな人間、あの人は〇〇なタイプ、おもしろい、つまらない、将来役に立つとか立たないとか、そんな簡単に区別できるのか、区別していいのか、そういうことをもう一度考えてほしいと思います。
美工作品展で、好きと嫌い、白と黒というような単純な二項対立で物をとらえることに問いを立て、その間にあるものについて考えたという作品がありました。もともと橋の下は汚いと思っていたけれどもその場に行って美しいと感じて絵を描いたという作品もありました。美工作品展中に、3年生の語る言葉にしばしば心を動かされました。それは作品の制作者として、丁寧にものを観察し、全身で感じ、深く考察して表現してきた人の言葉だからだと思います。私は、ありきたりのものの見方や感じ方に寄りかからない、銅駝の生徒の観察力、感性、考察力を信じ期待しています。これまで簡単に評価したり、レッテルを貼ったりしていたことを、後期は一度リセットして、皆さんの素晴らしい、観る力、感じる力、考える力を使って物事を捉え直してください。そこから新しい力や可能性が生まれるはずです。
2018年10月11日
校長 吉田 功